全日本モトクロス選手権(JMX)とは?

ここで、初めて記事を読まれる方のために、全日本モトクロス選手権の概要について触れておきましょう。JMXは、未舗装のクローズドコースで行われる二輪オフロードレースの国内最高峰カテゴリです。アップダウンの激しい地形に設けられた大ジャンプやタイトなコーナーを、時速100km近くに達するスピードで駆け抜ける迫力満点の激しいバトルが魅力です。
2026年シーズンは全国で全9戦が予定されており、今回の開幕戦は15分+1周の「3ヒート制」というスプリント形式が採用されています。つまり一瞬のミスも許されないスプリントバトルが、一日に3回も繰り広げられる過酷なレギュレーションです。
念願のファクトリー入りを果たした内田篤基

内田篤基選手
カワサキのエースとして指名された内田篤基選手は、現在29歳。ジュニア時代から頭角を現し、2021年にはIA2クラスでランキング3位を獲得、IA1昇格後も着実にステップアップを遂げてきました。
内田選手の強みは、どんな状況でも崩れない冷静なライディングと、勝負どころで見せる驚異的な瞬発力です。

Kawasaki KX450R
昨年まではサテライトチームで健闘してきましたが、2026年、ついに念願のファクトリー契約を締結。Team Kawasaki R&Dの一員として、新型KX450SRを駆ることになりました。今シーズンの王座獲得への期待が内田選手の肩にかかっています。
苦しみながらも掴み取った3位表彰台

ファクトリー入りして最初のレースとなったヒート1。絶好の出だしを見せたものの、直後に転倒を喫し、ほぼ最後尾からのレースを強いられます。
しかし、内田選手は諦めずに一台、また一台と猛追。最終的に6位まで順位を上げ、ファクトリーライダーとしての意地を見せました。
続くヒート2。内田選手は再び鋭い反応を見せますが、またしても1コーナー出口のジャンプでアクシデント。他車にラインを塞がれる形で転倒し、大きく遅れてしまいます。
今回は追い上げも虚しく、13位でチェッカー。スタートで光るものの、転倒により苦しい展開が続きます。
「このまま終わるわけにはいかない」。その強い意志は、最終ヒート3のスタートから見て取れました。

見事なホールショットを奪い、序盤からジェイ・ウィルソン選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)や大城魁之輔選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と激しい首位争いを展開。内田選手は落ち着いたライン取りでトップ集団に食らいつきます。
レース後半、背後に迫る大倉由揮選手(Honda Dream Racing Bells)との熾烈な3位争いに。最終ラップ、手に汗握るデッドヒートが繰り広げられましたが、内田選手はプレッシャーを跳ね除け、ポジションを死守。見事3位で表彰台に滑り込みました。
次戦はHSR九州大会
開幕戦の総合結果は7位。不運なアクシデントがありながらも、ヒート3で見せた走りは、今シーズンのさらなる活躍を予感させるものでした。
内田選手はレース後、「ヒート1・2ではミスをしてしまいましたが、ヒート3ではそのミスを繰り返さないよう意識しながら、スタートを出たあとも冷静に走ることができ、うまく気持ちを切り替えられた」「今回、タイムアタック予選でトップを取ることができて、IA1で初めて予選トップになることができました。そういった点も含めて、かなりいいところまでは来ていると感じているので、どんな状況でも実力を発揮できるよう、そこに集中して取り組んでいきたいと思います」と力強く語りました。
次戦は4月19日、内田選手が得意とする高速コース「HSR九州(熊本県)」です。開幕戦の悔しさをバネに、さらなる進化を遂げた内田篤基とKX450SRが、九州の地でどんなドラマを見せてくれるのか。カワサキの挑戦は、まだ始まったばかりです。
文:河村大志/写真:Kawasaki/まとめ:Kawasaki Good Times 編集部

