進化と熟成を重ねて誕生したカワサキのスポーツツアラー「Ninja 1100SX SE」。このマシンとならどんな旅ができるのだろう? そう思いながら、撮影地の信州ビーナスラインを目指した。
画像: Kawasaki Ninja 1100SX SE 2025年モデル 総排気量:1098cc エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:820mm 車両重量:235kg 発売日:2025年3月29日(土) 税込価格:198万円 ※撮影車両はパニアケースキット、フレームスライダー、タンクパッドなど一部アクセサリーパーツを装着しています。

Kawasaki
Ninja 1100SX SE
2025年モデル

総排気量:1098cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:235kg

発売日:2025年3月29日(土)
税込価格:198万円
※撮影車両はパニアケースキット、フレームスライダー、タンクパッドなど一部アクセサリーパーツを装着しています。

ベストシーズンの信州ビーナスライン

画像1: ベストシーズンの信州ビーナスライン

「撮影お疲れさまでした!」そう言ってカメラマンさんと別れたのは18時前のことだった。

信州ビーナスラインの霧ヶ峰高原、涼しさは寒さに変わりつつある。夕焼け空の下をトンボが飛びまわっている。

充分に高原の旅を満喫したはずが、なぜだか「帰るか」とは思えない。妙に不完全燃焼な気分だ。とりあえず帰路と逆方向、北を目指しますか!

*   *   *

早朝4時前の出発

陽が昇るのがずいぶん遅くなってきた。朝4時前、真っ暗な首都高を西へと進む。Ninja 1100SX SEは、エンジン音や排気音からして高性能マシンであることが分かる。

そして高い剛性を持つ。ガチッとした車体は、密度の高い丸太に乗って超低空飛行をしているかのよう。それでいて、足まわりはよく動き、しなやかさも感じる。路面の細かな凹凸はサスペンションがことごとく処理してしまう。つい数日前に走ったばかりの道だが、知らないうちに舗装が張り替えられたのかと錯覚した。

画像2: ベストシーズンの信州ビーナスライン

5時を過ぎてようやく明るくなってきた。あっという間に山梨県、中央道の釈迦堂PAに入った。

ジャケットの下に着たTシャツの裾をジーンズに中にしっかり入れる。数カ月ぶりに感じる自然の寒さが嬉しい。

画像: ▲八ヶ岳がくっきりと見えた。夏場はなかなか見られない。涼しくなり空気が澄んできた。

▲八ヶ岳がくっきりと見えた。夏場はなかなか見られない。涼しくなり空気が澄んできた。

八ヶ岳PAでカメラマンさんと合流した。

諏訪ICで降り、ワインディングロードを走って霧ヶ峰へと向かう。さすがは信州ビーナスライン、朝からライダーとよくすれちがう。

そこからNinja 1100SX SEを撮影したり、現地で待ち合わせしていた取材対象者にNinjaを乗ってもらったり、私が走っているシーンを撮ってもらったりしながら、ビーナスラインを堪能した。

画像3: ベストシーズンの信州ビーナスライン

ツーリングライダーの聖地・信州ビーナスライン

何度も訪れている場所ながら、いつ来ても爽やかで、毎回幸せな気分になる。「ああ、ライダーでよかった」そう思える瞬間がコーナーを曲がるたびにやってくる。間違いなく日本屈指のツーリングロードだ。

Ninja 1100SX SEでのワインディング走行は奥が深い。ライディングモードを「ROAD」と「SPORT」で切り替えたり、オーリンズ製リアショックのプリロードを調整したり、スクリーンの角度を変えたり、といろいろ試しながら、もっとも好みと思えるセッティングを探る。

Ninja 1000シリーズの時代から感じていたことだが、ハンドルの高さや幅が絶妙だ。高速道路を走っているときはラクだと思えて、ワインディングロードに入れば、その気になった構えもとれる。

画像4: ベストシーズンの信州ビーナスライン

この『SE』はフロントブレーキが強化されているのも魅力。235kgの車両重量にプラスして、タンデムで大荷物を積んだ走行も想定したパッケージなだけあり、強烈な制動力を発揮する。それでいて感触は分かりやすい。上等なブレーキは峠の走行を安全かつ楽しくする。

画像5: ベストシーズンの信州ビーナスライン

山の尾根をゆく道には、風の通り道と交差する場所がある。たまたま休憩に選んだ駐車場は、まさにそんなスポットだった。

風に吹かれるススキは早くも黄金色に染まっている。もたもたしていると、あっという間に冬がくる。ただ今日この瞬間は、私の一年でもっとも心地よい陽気かもしれない。ここに来れてよかった。

画像6: ベストシーズンの信州ビーナスライン

ズバッと高速を走って、目的地の絶景ロードでスポーツ走行を楽しむ──。今回はビーナスラインまで200kmちょっと道のりだったが、東京からだとしたら、もう少し遠い志賀草津道路や福島県の磐梯吾妻スカイラインも日帰りツーリングの射程に捉えられる。旅のスケールが広がり、短い時間でもできること、行ける場所は格段に増える。

画像: ▲霧ヶ峰高原のライダーが集まる駐車場で、ソフトクリームを食べた。500円。濃厚だけど後味はさっぱりしていて、美味しい。来るたびに変わった味にトライしようと思うが、いつもバニラを選んでしまう。今回も“ライダーの義務”を果たせてよかった。

▲霧ヶ峰高原のライダーが集まる駐車場で、ソフトクリームを食べた。500円。濃厚だけど後味はさっぱりしていて、美味しい。来るたびに変わった味にトライしようと思うが、いつもバニラを選んでしまう。今回も“ライダーの義務”を果たせてよかった。

*   *   *

夕暮れどき、予定していた撮影は無事すべて終わった。カメラマンさんは別の撮影が控えているとのことで、この場で解散となった。

ここからは、ひとり旅を楽しもうじゃないか。

北へ向かう

暗くなってからのノープラン・ツーリング

諏訪の街に下りると、あたりはすっかり暗くなっていた。帰宅ラッシュの甲州街道で渋滞にはまる。こんな時間から、さらに遠出がしたくなるなんて思わなかった。

画像1: 北へ向かう

朝4時前に出発したというにも関わらず、疲れを感じない。まだまだ走りたい。とはいえ街道の渋滞を味わいたかったわけではない。一般道で北へ向かうことも考えたが、岡谷ICで長野道に入った。

自分でも不思議な気持ちだ。並みの車両なら、一刻も早く自宅に帰るか、近くの温泉宿にでも泊まりたいと思っていたはず。だけどNinja 1100SX SEなら、まだ進める。それも無茶ではなく、いたって普通の選択に思えてくる。

塩尻、松本、安曇野、姨捨などを経て、更埴JCTで長野道から上信越道に変わる。

夜の上信越道は想像していたよりも暗かった。北へ北へと進むほどに、夜は深まり、交通量は少なくなっていく。排気音とエンジン音、それに風切り音しか聞こえない。

画像2: 北へ向かう

しかしNinja 1100SX SEのヘッドライトは、かなり明るく照射範囲が広い。クルマのヘッドライトかと思うほど、道幅の端から端まで照らしてくれる。前方に車両がいなくなったのを見計らい、ハイビームにすると道が見えなくなる先まで照らしてくれた。

追い抜かれることもなければ、前方の車両に追いつくこともない、自分だけの時間が続く。クルーズコントロールを使っているため、Ninja 1100SX SEは半ば自動的に走ってくれる。

周りの景色は真っ暗で、周囲が山なのか田園なのかも判別がつかない。対向車とはすれちがうものの、あっちの車線は別の世界。こっちの世界は自分ひとり、寂しいような、嬉しいような……。地名を示す緑の案内板がなければ、いったいどこにいるのかも分からない。

少し疲れてきた。次のPAに入ろう。

画像: ▲上信越道・黒姫野尻湖PA。

▲上信越道・黒姫野尻湖PA。

初めて入った黒姫野尻湖PAは、トイレと灰皿があるだけで自動販売機すら見当たらない。時刻はもうすぐ21時になる。マップアプリを起動した。ひとまず自分のいる場所を正確に知りたい。

日本海まではおよそ70kmといったところ。宿泊予約アプリで海に近い遅くまでチェックインできる宿を探すと、手頃なビジネスホテルが見つかった。場所は上越市直江津。歴史ある港町、いいじゃないか、そそられる。

いざ、日本海へ

22時、日本海に着いた。

画像: ▲この自動販売機の裏側に日本海が広がっている。

▲この自動販売機の裏側に日本海が広がっている。

真っ暗な海は写真に収められない。というか、あまりの暗さで肉眼でもほとんど何も見えない。しかし波の音は力強く、潮の香りも濃い。気づくと唇がしょっぱかった。

ホテルにチェックインして、急いで飲食店を探す。駅前をぶらぶら歩くと、風情ある町並みであることが分かった。週末ということで居酒屋がまだ何軒も営業している。港町特有のディープな盛り場もあった。ビールが飲みたくなる。

ただ明日もNinjaに乗るわけで、睡眠時間もさほど長くは取れないだろう。ラーメンのノボリを掲げた店に入り、昔ながら醤油ラーメンをすすった。この町は、もう一度夕方から訪れて、夜を堪能したい。

This article is a sponsored article by
''.