2026年5月末に開催された試乗会にて、二輪ジャーナリストの小川勤さんに2026年7月1日発売のbimota「TESI H2 TERA」を試乗してもらいました。本記事では、専門的視点からみた本モデルの性能について、駆け足でインプレをお届けします。
※以下、文:小川 勤/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部

ビモータの独創性が光る、世界最速のクロスオーバー

画像: bimota TESI H2 TERA 2025年モデル 総排気量:998cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:820mm 車両重量:244kg 発売日:2026年7月1日 税込価格:638万円  ▶▶▶車両情報の詳細はこちら

bimota
TESI H2 TERA
2025年モデル

総排気量:998cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:244kg

発売日:2026年7月1日
税込価格:638万円
▶▶▶車両情報の詳細はこちら

改めて、ビモータは天才だと思った。カワサキが誇る200PS/11000rpmを発揮するスーパーチャージドエンジンを搭載し、クロスオーバーに落とし込んだ「TESI H2 TERA」。世界最速のクロスオーバーモデルであることに疑いの余地はない。

車体前後にもスイングアームがついており、シート下に前後サスペンションをマウントする画期的な車体構成は、低速から怒涛のトルクを発揮する200PSを支配し、走り出せば244kgの重量も感じさせない。

画像: ビモータの独創性が光る、世界最速のクロスオーバー

外装はドライカーボン製で軽快なハンドリングに貢献しており、メーターやモード切り替え、クイックシフト、トラクション&ローンチコントロールなどの電子制御はZ H2を踏襲している。

次々と驚きと感動が訪れ、可能であればずっと走っていたいと思った。

究極の安定性を生む「ハブステア」とフレームレス構造

画像1: 究極の安定性を生む「ハブステア」とフレームレス構造

前輪のアクスル部分にハブを持つことからハブステアと呼ばれるこの機構は、様々なメリットを持つ。

最大の特徴は減速時のフロントサスペンションの上下動と操舵機構が機能として分かれている点で、これが高い路面追従性と安定性を生む。

画像2: 究極の安定性を生む「ハブステア」とフレームレス構造

分かりやすい挙動は、ブレーキングで前のめりにならないことで、その際にキャスター&トレール量が変化しにくいところだ。フロントホイール内には巨大なベアリングが入り、キャスター&トレールの操舵機構を集約している。

また、TESI H2 TERAには一般的なモーターサイクルのようなフレームがなく、エンジンを左右から挟み込む形で前後スイングアームやTESIシステムを懸架するためのステーを用意している。エンジンを囲む通常のフレームは、減速時にステアリングヘッドに大きな荷重が集中するため剛性が必要になり、どうしても重たくなる。

TESI H2 TERAの場合、減速Gが集中するのはハブだからフレームは必要ない。さらにフロントフォークもないため、重心とロール軸が下がり、重量以上にハンドリングは軽くなる。

個性的なポジションと一般道での不思議な乗り味

ポジション面では、2段階に調整できるスクリーンとワイドなアップハンドルを備え、長距離も快適そうだ。イタリアントリコロールをあしらったシートは一見高めだが、片足をきちんと着けば足つきに問題はなく、程よく硬めでスポーツライディングもしやすい。

シート下には2本のオーリンズ製TTXサスペンション(左側がフロント用、右側がリヤ用)を装備。跨ってもサスペンションはほとんど縮まないが、前後に揺するとよく動くことと、通常のモーターサイクルとまるで異なることが伝わってくる。

画像1: 個性的なポジションと一般道での不思議な乗り味

今回は一般道とサーキットでテストしたが、一般道を走り出すとこのサスペンションがシート下でワフワフと動く。

信じられないほどよく動く設定で、これはかつてのTESIからは感じたことがない動きだ。かといって車体の姿勢変化が大きいかというとそうでもない。

画像2: 個性的なポジションと一般道での不思議な乗り味

専用設計となるトルコのAnlas製タイヤはブロックパターンながら意外にもよくグリップする。

ハンドリングは過去に似たものがないほど独特で、違和感はあるが怖さはなく、その乗り味は個性的だ。

時速200kmでも揺るがない。

画像1: 時速200kmでも揺るがない。

そしてサーキットへ。

フワフワ感が心配だったが、それは杞憂だった。1つ目のコーナーから不安なく走れ、ストレートに帰ってくる頃にはスロットルは全開になっていた。アベレージを上げるとTESI H2 TERAは安定する。2、3速は全開で加速し、4速で200km/hほど出してみたが、ワイドなアップハンドルはまるで振られないのだ。

通常はサスペンションと操舵系が一体で動くため、大きな減速Gがかかると車体が前下がりになり、前輪がどちらかに切れ込もうとしてバランスを崩しやすいが、TESI H2 TERAはそういったシーンでもそこから少しブレーキを緩めれば簡単に曲がれてしまう。

画像2: 時速200kmでも揺るがない。

さらに、セルフステア(後輪が倒れる動きに追従して前輪がステアすること)のレスポンスが良く、これも重量を感じさせない軽い動きに貢献。

そしてリーンが始まってもさらに向きを変えようとするため、常にグイグイと曲がる感覚を味わえる。ライダーがこの車体の動きを理解し、身体の重心移動ができるようになると、『TESI使い』の道が開けてくるのである。

画像3: 時速200kmでも揺るがない。

「キュルルルルッ」。エキゾーストノートだけでなくスーパーチャージャーのインペラが回る音が響く。高回転では強烈なレスポンスを約束しながらも、大パワーをいくら与えても何事も起きない。

モーターサイクルは、まだ未知のものがたくさん潜んでいる神秘的な世界である。それをTESI H2 TERAが教えてくれる。興味深い気持ちで、ただただ感心しながらスロットルを開け続ける。やっぱりビモータは天才だ!

文:小川 勤/写真:南 孝幸、松川 忍/まとめ:Kawasaki Good Times Journal編集部

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