水面コンディションも穏やかで風光明媚な「瀬戸内海」は、ジェットスキーのツーリングスポットとしても人気が高い。今回は、瀬戸内海の四国側、香川県三豊市の荘内(しょうない)半島周辺のツーリングレポートを紹介しよう。香川県のジェットスキーARK「ジェッツハバス」の代表、和泉さんが考えたツーリングコースを走り、瀬戸内の美しい景色とともに、普段は見る事のできないアートにも触れることができて大満足の2日間であった。

癒しの志々島とフォトジェニックな粟島へ

画像: 癒しの志々島とフォトジェニックな粟島へ

天空の花畑と巨大な楠を堪能

香川県のジェットスキーARKジェッツハバスがある詫間(たくま)湾のスロープからジェットスキーを水面に下ろすと、まず最初に向かったのは、沖合に見える周囲約4キロメートルの志々(しし)島だ。

志々島は、かつて漁業が栄え人口1000名を超えていたが、高度経済成長に伴い次第に人口も減少。

現在は、人口16人が暮らす「花の島」として、四国を訪れる観光客から人気を集めている。香川県本土からのフェリーが、1日3便のみと交通アクセスが悪いにもかかわらず、年間を通して多くの観光客が志々島を訪れている。

画像: ▲フェリー乗場の隣に位置する、本村の入り江にジェットスキーを係留。

▲フェリー乗場の隣に位置する、本村の入り江にジェットスキーを係留。

ツーリング当日は晴天に恵まれ、初夏を思わせる爽やかな陽気の下、水面コンディションも穏やかだ。

瀬戸内海独特のフラットな水面を走り志々島の南東側、フェリーが発着する本村漁港に隣接する入り江に到着した。ジェットスキーを係留すると、我々は瀬戸内海を一望できる「天空の花畑」を目指し、細い坂道を歩き始めた。

画像: ▲本村漁港から天空の花畑へ続く、細い坂道を上る。

▲本村漁港から天空の花畑へ続く、細い坂道を上る。

約10分程歩くと、色とりどりの花が咲く高台のエリアに到着。志々島最初の目的地、「天空の花畑」だ。「天空の花畑」は、志々島を訪れた人たちに景色を楽しんでいただけるようにと、様々な種類の花をきれいに植えて、無料で開放している。

花畑を管理する高島さんによると、シバザクラが咲く3月中旬から4月中旬は特に来島者が多く、フェリーも臨時便が出るほどの賑わいを見せるそうだ。ツーリングを実施した5月下旬は、ピンク色が鮮やかな、ナデシコの花畑が広がっていた。

画像: ▲ナデシコの花畑の向こう側に、瀬戸内海の美しい海が広がる。

▲ナデシコの花畑の向こう側に、瀬戸内海の美しい海が広がる。

次に向かったのは、樹齢1200年の楠(くすのき)が生える「大楠神社」だ。

神社は山の中腹にあり、「天空の花畑」からさらに山道を登っていく。山道は上りの傾斜がきついことに加え、樹木がうっそうと生い茂っていて虫も多い。

さらに、ウェットスーツを着ているのでかなりのハードワークだ。途中、小休止をはさみながらも、15分程で神社に到着した。

画像: ▲急勾配の山道を登り続けると、神秘的な雰囲気の巨大な楠が姿を現す。

▲急勾配の山道を登り続けると、神秘的な雰囲気の巨大な楠が姿を現す。

高さ22.5メートル、幹周り12メートルの巨大な楠の姿は、まさに圧巻。楠周辺に漂う神秘的な雰囲気に包まれて、山登りの疲れが一気に吹き飛んだ。志々島のパワースポットと言われる巨大な楠を見ながら運気をチャージした我々は、ジェットスキーを係留した入り江までに坂道を下って行った。

船のスクリューの様な形をした現代アートの島

次に訪れたのは、志々島の西側約1キロメートルの地点に浮かぶ粟島だ。

粟島は周囲約17キロメートルと、志々島の4倍強の面積があり、現在は約140名の人が住んでいる。面白いのは島の形だ。

粟島は3つの島が潮流によって陸続きになったもので、上から見ると船のスクリューのような、独特の形をしている。また、瀬戸内の島々を舞台に3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の会場の1つで、島内には現代アートに関する様々な作品や施設が点在している。

粟島に上陸した我々は、島の中心部にある宿泊施設、ル・ポール粟島でランチを楽しんだ後、さっそく島内観光に出かけた。フェリー乗場がある粟島港の近くには、現代美術家の日比野克彦さんが校長を務める「日々の笑学校」があり、若手の芸術家が作品作りに励んでいる。

土曜日の午後は、学校の校舎を一般開放し、芸術家が作った作品を鑑賞することもできる。「日々の笑学校」は、廃校になった旧粟島中学校をそのまま活用しているので、木造の校舎はノスタルジックな雰囲気が満点だ。

「日々の笑学校」を少し北に歩くと、細い道路沿いに「漂流郵便局」が現れた。これは本物の郵便局ではなく、2013年に開局した架空の郵便局をモチーフとしたアート空間だ。

画像: ▲届け先の分からない手紙を、漂流私書箱に受け付ける漂流郵便局。

▲届け先の分からない手紙を、漂流私書箱に受け付ける漂流郵便局。

築50年の郵便局を使ったアートプロジェクトには、全国から寄せられた「誰かに届けたい想い」を綴った手紙の一部が展示されている。

毎週土曜日の13時から16時までの3時間のみ郵便局が開放され、入館料は500円だ。過去、現在、未来の誰かに向けた、宛て先の分からない手紙を読む、不思議な体験を楽しむことができる。

「漂流郵便局」からフェリー乗場に向かい少し南東の方角に歩くと、「島コンたけうち」と書かれた看板を掲げる昭和レトロな商店がある。

画像: ▲昭和のレトロな雰囲気が漂う、島コン(島のコンビニ)たけうち。

▲昭和のレトロな雰囲気が漂う、島コン(島のコンビニ)たけうち。

店先に置かれたベンチには、アイスクリームを食べる3人の女性が座っていた。ノスタルジックな雰囲気が味わえる空間として、観光客にも人気のスポットだ。

その他、藤井フミヤさんが寝そべったベンチが本人が写った写真と一緒に飾られ、写真と同じポーズで写真を撮ることができる。思わずカメラのシャッターを切りたくなるポイントがいっぱいの島だ。

画像: ▲粟島が大好きなアーティスト、藤井フミヤさんが寝そべったベンチ。

▲粟島が大好きなアーティスト、藤井フミヤさんが寝そべったベンチ。

岡山と香川を結ぶ、「瀬戸大橋」を間近に見る

画像: 岡山と香川を結ぶ、「瀬戸大橋」を間近に見る

年間で2日間しか参拝できない津島神社を海上から眺める

粟島を後にした我々は、東に針路をとった。正面には、本州の岡山県倉敷市と四国の香川県坂出市を結ぶ「瀬戸大橋」が見える。

「瀬戸大橋」は今から38年前の1988年に全線が開通し、初めて四国と本州が橋で結ばれた。高速道路の下に鉄道が通る鉄道道路併用橋としては世界最長の長さを誇り、2015年にはギネス世界記録にも認定されている。

全長12キロメートルにも及ぶ「瀬戸大橋」は、ジェットスキーに乗って海上から見るとやはり大きく、そして美しい。「レインボーブリッジ」や「明石海峡大橋」とは、また違ったタイプの美しさを見せる橋だ。

画像: ▲後ろに見えるのは、本州の岡山と四国の香川を結ぶ「瀬戸大橋」だ。

▲後ろに見えるのは、本州の岡山と四国の香川を結ぶ「瀬戸大橋」だ。

「瀬戸大橋」を正面に見てしばらく走り、右手に工業地帯が見える丸亀の中心部を過ぎたあたりでUターンし、出発地点である詫間町のジェッツハバスを目指して西に向かった。

「瀬戸大橋」のたもとの坂出から丸亀、多度津周辺の海沿いエリアは、川崎重工業の坂出工場をはじめ大きな造船所が立ち並び、今まで走ってきた緑豊かな島の周辺とは一転して景色が変わる。巨大な建造物を見ながら、工業地帯の水面を走るのも楽しいものだ。

多度津の工業地帯を抜けてしばらく走ると、左手に小さな島に架かる赤い橋が見えてきた。この島は三豊市三野町の沖合300メートルに浮かぶ津島で、島には子供の健康と成長の守り神として知られる「津島神社」が建てられている。驚いたことに、「津島神社」は夏期大祭が開催される8月4日と5日の2日間のみ、神社へ参拝することができる決まりとなっている。

画像: ▲三豊市三野町の沖に浮かぶ小さな島に奉られた「津島神社」。

▲三豊市三野町の沖に浮かぶ小さな島に奉られた「津島神社」。

普段から赤く塗られた橋の欄干は存在するが、人が歩く部分の木の板(700枚程度)は全て取り外されていて、大祭の2日間のみ踏み板が取り付けられるという極めて珍しいシステムだ。夏期大祭には、2日間で香川県内外から10万人を超える参拝者が集まるそうだ。

「津島神社」を過ぎて15分程走ると、左手にこじんまりとしながらも白い砂浜が美しいビーチに上陸した。ここは「Fビーチ」と呼ばれるプライベートビーチで、予約をすればバーベキューも楽しめるジェットスキーにも最適な施設だ。

休憩した後「Fビーチ」を出発し、午後4時過ぎにジェッツハバスに到着。見所いっぱいの、瀬戸内ツーリングであった。

電動自転車だから、観光地もスムーズに移動

今回のツーリングでお世話になった香川県のジェットスキーARK「ジェッツハバス」は、カワサキの3輪電動ビークル「ノスリス」の正規取扱店でもある。そこで今回は、ジェットスキーツーリングの翌日に、三豊市と観音寺市にある観光スポットを「ノスリス」に乗って訪れてみた。

まず最初に訪れたのは、南米ボリビアのウユニ塩湖のような水面反射の写真が撮れることで、SNSで話題沸騰中の父母(ちちぶ)ケ浜だ。

画像: ▲干潮時の夕暮れに、鏡のような写真が撮れる話題のビーチ「父母ケ浜」。

▲干潮時の夕暮れに、鏡のような写真が撮れる話題のビーチ「父母ケ浜」。

干潮時にできる潮だまりに空が鏡のように映り込み、特に「夕日が沈む時の光景が最高!」と、年間51万人以上が訪れる一大観光地となった。週末ともなると、乗用車や観光バスで駐車場は大混雑するが、「ノスリス」は電動アシスト自転車なので駐車スペースをそれほど気にすることなく、父母ケ浜をゆっくりと探索することができた。

ランチタイムは、やはり香川県に来たなら讃岐うどんは絶対に外せないということで、ジェッツハバス代表の和泉さんおすすめのうどん店を訪れた。

画像: ▲コスパ抜群のセルフサービス讃岐うどん店「心うどん」。

▲コスパ抜群のセルフサービス讃岐うどん店「心うどん」。

今回紹介するのは、三豊市詫間町にある「心うどん」だ。店内に入るとまず最初に聞かれるのが、麺の太さ(細麺か太麺)と、うどんの数(1玉〜3玉)だ。

次に、サイドメニューでお好みの天ぷらや唐揚げを選び、温かいつゆをかけたい人は自分で蛇口をひねり、うどんにつゆをかける。うどんを温めてざるで湯切りするのも自分で行うセルフサービスだ。

初めて訪れた県外の人は間違いなく戸惑うが、自分で盛りつけるセルフうどんの楽しさに、ハマる人も多いだろう。ちなみに、和泉さんのおすすめは麺をお湯で温めずに、熱いつゆをかける「冷やうどんの熱つゆ」スタイル。「心うどん」に週に3度は訪れる、生粋の讃岐人だ。

讃岐うどんでお腹を満たした後、三豊市に隣接する観音寺市の観光スポットを訪れた。旅行会社やネットの調査で、観音寺市の観光スポットの人気ランキング1位に輝いたのは「銭形砂絵」だ。

「銭形砂絵」は、有明町の海岸に砂で作られた寛永通宝を模した砂絵のことで、縦122メートル、横90メートルの大きさを誇る。

画像: ▲砂浜に描かれた縦122メートル、横90メートルの巨大な砂絵、銭形砂絵「寛永通宝」。

▲砂浜に描かれた縦122メートル、横90メートルの巨大な砂絵、銭形砂絵「寛永通宝」。

砂絵の近くで見ても何のことか分からないが、隣接する琴弾(ことひき)公園の山頂から見下ろすと、海岸に作られた、見事な砂絵の全景を見ることができる。「銭形砂絵」を見た人は健康で長生きし、お金に困らないと言われている。

最後に訪れたのは、標高404メートルの高地に建てられた「天空の鳥居」だ。高屋神社の下宮から鳥居のある本宮まで、徒歩で登ると石段の数は全部で270段。結構ハードだが、「天空の鳥居」からは観音寺市の街並が一望にできる。

画像: ▲標高404メートルの穂積山頂にそびえ立つ鳥居「天空の鳥居」。

▲標高404メートルの穂積山頂にそびえ立つ鳥居「天空の鳥居」。

三豊市を中心に、ジェットスキーとノスリスを楽しむ2日間だった。

写真:Kawasaki/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部/協力:JET’S HAVAS
※本記事は2026年6月25日発刊『KAZE会報誌 vol.306』に掲載された記事を一部編集して公開しています。

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