
Kawasaki
Z650RS
2026年モデル
総排気量:649cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:800mm
車両重量:188kg
税込価格:108万9000円
▶▶▶製品ページはこちら
Z650RSは2022年に登場したネイキッドスポーツモデル。
トラディショナルな丸目1灯のヘッドランプに2眼メーター、ティアドロップタンクと、“Z”らしいテールの造形でZ900RSに通じるレトロモダンな魅力を放っています。
しかし、基本コンポーネントは2020年に進化し、2023年にはトラクションコントロールが与えられたカワサキのミドルネイキッドスポーツ・Z650とNinja 650。素性のしっかりした車体とエンジンにより、街中・ワインディングでも存分に楽しめる1台に仕上げられています。
今回は移動・ツーリング含め4日間試乗して感じた、Z650RSの魅力をお届けします。
“大型”を感じさせない軽量な車体と快適なポジション

Z650RSに触れてみると、コンパクトな車体は重量188kgというカタログの数値以上に軽く感じ、車体を起こすときの安心感は大型モデルの中でも「特別」と言っていいほどです。
シート高は800mmと、ネイキッドモデルのZ650に比べて10mm高い設定となっていますが、身長175cmの私であれば両足がかかとまでしっかり接地します。ステアリングアングルも左右35°と十分で、取り回しやUターンといった場面で小回りが効くのが嬉しいポイントです。

また、Z650RSの大きな魅力はライディングポジションです。手前に引かれたハンドルにより上半身が起き、とても自然な姿勢になっています。
腕や背中、首といった上半身への負荷が少なく、コンパクトで軽い車体と相まって大型モーターサイクルとは思えないほど気軽に乗り出すことができます。

さらに、Z650RSの魅力を大きく底上げするポイントは、そのエンジンにもあります。
扱いやすさと「ドコドコ感」を両立した並列2気筒エンジン

排気量649ccのDOHC4バルブ水冷4ストローク並列2気筒エンジンは8000回転で最高出力68PSを発揮し、低回転でのトルクも十分。
100馬力級の大型モーターサイクルと比較してしまえば、もちろんパワーは控えめですが、その代わりに発進や加速で気をつかうことがありません。比較的ラフなスロットルワークでもドン突きに悩まされることなく、扱いやすいセッティングになっています。
軽量な車体に650ccもの排気量があれば低中速域でのトルク・パワーともに十分で、忙しないギアチェンジなしにクルマの流れに乗れるでしょう。

高速道路でも余裕があり、80km/h、90km/h、100km/hの回転数はそれぞれ約3750rpm、4250rpm、4750rpmとなっていて、100km/h巡行でもかなり余裕があります。

扱いやすさが光るこのエンジンですが、素性はスポーツモデルのZ650・Ninja 650。
多用する4000回転付近から高回転まで綺麗に吹けあがり、ワインディングでは2速でも十分に高回転を使用して、パワフルな走りを楽しめます。
パワーを持て余すことがない排気量が、結果として満足感を高めるポジティブな方向に働いているように感じました。

また、もうひとつこのエンジンで面白いな、と感じた部分は低回転の鼓動感です。
4000回転を超えてくればスポーツモーターサイクルの2気筒らしい軽やかなフィーリングとなりますが、3000回転付近ではドコドコとしたパルス感のある鼓動を楽しむことができます。
ツーリングロードをのんびりと流す際には、モーターサイクルらしいフィーリングとサウンドを味わうことができ、飽きの来ない特性に魅力を感じました。
しっとりした足まわりがもたらす、トラディショナルな乗り味

Z650RSは制動力も高く、フロントにはダブルディスクブレーキを装備。
優しく握ればやんわりと、しっかり握ればきっちりと効くため、広い速度域でコントロール性が高く、「効き過ぎて疲れる」や「思ったより効かない」といった不安がないのが好印象でした。
サスペンションは想像以上にしっとりとしたセッティングになっていて、スポーツモデルがベースのZ650RSですが、どちらかといえば乗り心地重視な印象です。それでも路面追従性は十分なので、テンポの良くスロットルを開けても、ある程度思い切ったライディングができるでしょう。

ただし、Ninja650やZ650に比べハンドル位置が高く乗車時の荷重も後ろ寄りである都合上、コーナリングの操作感はほかのスポーツモデルとはちょっと異なります。
フロントに荷重をかけてコマのように曲がるというよりかは、リヤタイヤに乗ってバンクで曲げるトラディショナルなロードスポーツに近いイメージです。ですからサーキットなどで追い込むようなスポーツ走行には向いていないかもしれません。
しかし、Z650RSの真骨頂は軽い車体と素直なハンドリングを活かした、道を選ばない機動力です。
モーターサイクルの上にどっしりと構え、リーンウィズで堅実に曲がっていくフィーリングは、人機一体感をより一層感じることができ、車体や足まわりで不安を感じさせないZ650RSならではの魅力だと感じました。

また、路面のギャップも気をつけたいポイント。普通に乗っている分にはしなやかな足まわりがしっかり衝撃をいなしてくれる一方で、サスペンションが縮んだ状態でギャップを超えてしまうと弾かれてしまうことも。荒れた路面の道では、注意が必要です。
とはいえ、市街地や高速道路での乗り心地の良さとワインディングでのスポーツ性能を両立したバランス感のある車体は、乗っていて、シンプルに「楽しい」と感じられました。
日常に溶け込む、最も身近な「大型二輪」

移動・ツーリング含め4日間試乗してZ650RSに感じた魅力は、抜群の親しみやすさです。
大型ともなると、小排気量にくらべて重量もパワーも格段と上がります。ですがZ650RSは、軽量でコンパクト、かつライディングポジションも快適ですから、身構えずに走り出すことができます。
さらに、小中排気量モデルでは体感できない、パワフルな側面も併せ持っているため「大型モーターサイクルに乗っている」という満足感もしっかりと感じることができます。
ツーリング向きのモーターサイクルとして非常に優秀な1台ですが、なにより近所への街乗りでさえ気軽に乗れるフットワークの軽さがZ650RS一番の武器でしょう。

毎日の通勤ともなれば、どれだけ排気量にゆとりがあっても250ccや125ccに軍配が上がると思いますが、それでもこのZ650RSなら、日常の中に自然とモーターサイクルが溶け込み、移動に便利と楽しさをプラスしてくれます。
「大型二輪免許を取得したけど、大きくて重いモーターサイクルは不安」、「少し落ち着いて走りたいけど、小排気量では物足りない」といったライダーにおすすめしたい1台です。
文:石神 邦比古/写真:森 浩輔、Kawasaki Good Times Journal 編集部



