カワサキきっての400cc4気筒スーパースポーツ・Ninja ZX-4RRで、片道60kmの通勤、そして高速道路を走ってみました。愛車に毎日乗りたい! という人が、本当に気軽に毎日乗れるモデルなのか? 等身大の視点で見つけたNinja ZX-4RRの「リアルな魅力」をレポートします。
画像: Kawasaki Ninja ZX-4RR 2026年モデル 総排気量:399cc エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:800mm 車両重量:189kg 発売日:2025年9月1日 税込価格:121万円

Kawasaki
Ninja ZX-4RR
2026年モデル

総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:800mm
車両重量:189kg

発売日:2025年9月1日
税込価格:121万円

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「毎日乗りたくなるんだよ、これ」

ふとヘルメットの中で、先輩の言葉が蘇りました。

スーパースポーツで通勤は無理?

この「過酷な長距離通勤」が日常になったのは、昨年末に郊外へ転居してからのこと。生活のゆとりと引き換えに手に入れたのは、片道約60kmという距離。しかも、都内へ向かう海沿いの国道は、日本の物流を支える大型トレーラーが昼夜を問わず走り抜ける激戦区でした。

そのおかげで道路には無数の轍(わだち)が。路面も激しく波打っており、走り慣れた愛車ですら少々身構えるレベル。ギャップを越えるたびに体に響く衝撃に耐えながら、ヘルメットの中で小さくため息をつくのがいつしか日課となっていました。

そんなシビアな環境を、今回はあえて、カワサキが誇るスーパースポーツモデル・Ninja ZX-4RRで通勤することに。

というのも、納車されたは良いけれど乗り心地が悪すぎて、街で乗りたくない! なんてことになったら困ってしまいますから、実際に毎日乗って、試してみようというわけです。

画像1: スーパースポーツで通勤は無理?

正直なところ、出勤前の私はすっかり気が重くなっていました。

「RR」の名が示すのは、サーキットでの絶対的な速さです。タイムを削るための強靭なフレームとサスペンションは、公道の荒れた路面とは相容れないトレードオフの関係にあるはず。この路面と1時間半格闘するのは、苦行に近いのではないか──しかし、国道に合流し、最初の大きな段差を乗り越えた瞬間、そのネガティブな予測は良い意味で完全に裏切られることになったのです。

画像: ▲走り出す前に感じていた不安は嘘のようで、なんだかちょっと楽しい。唐突な路面のギャップをうまくカバーして駆け抜けてくれるので、不安もなければストレスもない。安心して乗れてしまいます。

▲走り出す前に感じていた不安は嘘のようで、なんだかちょっと楽しい。唐突な路面のギャップをうまくカバーして駆け抜けてくれるので、不安もなければストレスもない。安心して乗れてしまいます。

同カテゴリーのモデルの場合、多くはリヤショックのツッパリ感が強く、街乗り程度の速度で段差を乗り越えると「ガツン」と突き上げるような衝撃が走ることが多いです。

これは腰に負担がかかるうえ、たまにお尻がバンッと浮いたりして怖い思いをすることがあるのですが、Ninja ZX-4RRの場合はそれがかなり少ないように思います。

画像2: スーパースポーツで通勤は無理?

これは本モデルに採用されているShowa製リヤショックアブソーバー「BFRC-lite」が、すごく良い仕事をしてくれているおかげなのでしょう。このデコボコ道の通過も苦になりません。かといって、ふにゃりとしているわけではないので、路面をしっかり掴んでいるなという感じは、よくわかります。

「快適」という一言で終わらせてしまうのはもったいないですが、一般的な速度域において、思っていた以上に荒れた路面でもライダーへの負担が少ないということがわかりました。

信号待ちや渋滞も苦にならないポジションで、このような感じで気負わず乗れるって、バイクライフを楽しむ上で一番大事なことだなと改めて実感しました。

画像3: スーパースポーツで通勤は無理?

ちなみにポジションも、攻めすぎていないのが良いです。

ステップに足を乗せ、自然とニーグリップが決まる位置に体を預ければ、手首への負担は驚くほど少なく、かつ首もあまり痛くなりません。アップハンドルのモデルに慣れている方でも、親しみやすいポジションだと思います。

余談ですが、Ninja ZX-4RRにはしっかり積載フックが備えられています。通勤時の荷物が気になる人はシートバッグなんかを積載してしまうのも良いだろうな、と、いつも通勤時に出会うリュックを背負ったスクーターのお兄さんを見て思いました。

やっぱり4気筒だよね、と思わずにはいられない

画像1: やっぱり4気筒だよね、と思わずにはいられない

モーターサイクルの主役は「エンジン」といっても過言ではないほど、キーをONにした瞬間からのエキゾーストは大切です。この点に関しては、さすが現行400ccクラス唯一の4気筒、特別感があります。

言葉で表すと、アイドリングで聞こえる独特の「ヒュンヒュン」という吸気音、そしてスロットルを開けると粒の揃った排気音が身体に響き渡るのです。これこれ、これが聴きたかったんですよね。

ただ移動しているだけなのに、なんだか爽快だし、気持ちが良い。会社ではなく、どこか遠くに遊びに行ってしまいそう。

画像2: やっぱり4気筒だよね、と思わずにはいられない

ちなみにエンジン自体は少しショート気味(高回転型でギア比が低め)な味付けなので、街中では早めにシフトアップして流すのがちょうどよく感じられました。低いギアで引っ張るよりも、高いギアでスムーズに走らせる方が、このエンジンのジェントルな一面を楽しめる気がします。

あと、クラッチのミートポイントが少し奥側にセッティングされていますから、イメージは、ちょこっとふかして発進する感じかな、と思います。

画像: ▲ちょうど都内に到着したとき、信号で止まったので、窓ガラスに映る自分をちらっと見てからヴンッとアクセルを開けて発進。カッコいいなあ、なんて、満足感が高まります。

▲ちょうど都内に到着したとき、信号で止まったので、窓ガラスに映る自分をちらっと見てからヴンッとアクセルを開けて発進。カッコいいなあ、なんて、満足感が高まります。

操作系に隠された「優しさ」の秘密

通勤中に「楽だな〜」と感じたポイントがもう一つ。それはクラッチレバーの軽さです。

本モデルにはアシスト&スリッパ―クラッチが搭載されており、指一本でも操作できるくらい軽々クラッチを切ることができます。信号の多い街中や渋滞で半クラッチを多用する場面でも、左手が全く疲れません。会社に着いたら手がしびれてタイピングができない、なんてことはないでしょう。

画像1: 操作系に隠された「優しさ」の秘密

さらに、このモデルにはアップ/ダウン対応のクイックシフターも装備されています。これを使えばクラッチ操作なしでシフトチェンジができるので、長距離ツーリングでは最強の武器になると思います。

とはいえ、クラッチ自体がこれだけ軽いと、街乗り程度なら自分でクラッチを握って、「カチャッ」とギアを入れる操作を楽しむのもまた一興。マシンを操っている感覚が自然で、私は結構好きです。

画像2: 操作系に隠された「優しさ」の秘密

セパレートハンドルを装備したフルカウルスポーツモデルは、ハンドル位置が高くてよく切れるアップハンドルのモデルよりもUターンが怖いイメージがあるかと思います。

しかし、Ninja ZX-4RRのハンドル切れ角(ステアリングアングル)は左右各35°。スーパースポーツ系のモデルでは30°を切る場合も少なくないので、この数値はアップハンドルのモデルと同等レベルで比較的ハンドルが切れるモデルと言えます。

狭い路地での取り回しやUターンも気軽にでき、「おっとっと」と焦ることがない安心感は、心の余裕に直結しますよね。

フロント周りの迫力あるカウリングのおかげで重そうに見えていましたが、車両重量は約189kgと4気筒モデルの割にはかなり軽量。ですから、会社に着いて、駐車場まで押し歩くのも十分気楽でした。毎日車両を出し入れするのも、苦にはならないでしょう。

高速道路を使って、ちょっと寄り道

一般道での通勤の翌日、この日はちょっとズルをして、高速道路を走ってみました。

ここでNinja ZX-4RRは、また違った表情を見せてくれます。合流車線での加速は、250ccクラスのような軽快さと400ccのパワーが相まって、いつの間にか速度が上がり、無理をせずとも十分な速度で合流が可能です。

画像1: 高速道路を使って、ちょっと寄り道

巡航速度に乗ると、スクリーンのおかげで胸元に当たる風が大幅に軽減されます。120km/hでの巡航も試してみましたが、車体はビシッと安定していて不安感はゼロ。「もっと遠くまで行けるかも」と思わせてくれるゆとりがあります。

画像: ▲スクリーンのおかげで風圧も少なく快適。このわずかなフチが、良い感じに風を受け流してくれているのでしょう。

▲スクリーンのおかげで風圧も少なく快適。このわずかなフチが、良い感じに風を受け流してくれているのでしょう。

街中では「しなやか」だと感じたサスペンションですが、高速域ではさらにその動きの良さが際立ちます。 路面の継ぎ目や凹凸を何事もなかったかのようにスマートに乗り越えていく……というより、地面にタイヤが吸い付いているような感覚に近いかもしれません。車体が跳ねないのです。低速でも高速でも、最適に動くサスペンションの懐の深さに、感動しました。

ちなみにエンジンそのものは250ccモデルよりも、だいぶゆとりがあって、左側を走る車を余裕で追い越したりできますが、高速域でのエンジン音はなかなかの迫力。120km/h付近だとかなりレーシーなサウンドになるので、静かにクルージングしたい人には少し騒々しく感じるかもしれません。

でも、「スポーツバイクに乗っている!」という高揚感を存分に感じられるという意味では、これもまた魅力のひとつ。許容範囲というか、むしろこの音が気分を上げてくれます。

画像2: 高速道路を使って、ちょっと寄り道

ここまで通勤時における街乗り・高速道路の快適性について触れてきましたが、せっかくのスーパースポーツなので、ちょっとしたワインディングへ。

言わずもがな、カーブへの進入もヒラヒラと軽快。重たいバイクを「よっこいしょ」と寝かすのではなく、目線を向けた方に自然とバイクが曲がっていくような感覚で、すごく楽しい。

250ccの車体に400ccのエンジンを載せた感覚で軽快に走れるので、どんどんアクセルを開けたくなってしまう……これはスピード違反に注意しなくてはなりませんね。

画像3: 高速道路を使って、ちょっと寄り道

見た目は薄くて硬そうに見えるシートですが、意外にもお尻は痛くなりません。スポーツライディングのしやすさと長時間の快適性を両立しているのは嬉しい誤算。

これなら普段使いだけでなく、休みの日に遠くまでツーリングに行けるのではないでしょうか。

画像4: 高速道路を使って、ちょっと寄り道

ちょっと早めに仕事を切り上げて、自宅を通り過ぎて富津まで。ちょうど夕陽が綺麗に沈むところで、オレンジ色に染まる海を見ました。近くに住んでいるので見慣れてはいますが、やはりここはいいところ。

ちょっと前に先輩が言っていたこと、よくわかる気がする──ヘルメットを被り直したら、夕陽を背にして帰ります。あ、明日もまた来ようかな。

足つきチェックと、未来のオーナーさんへ伝えたいポイント

私の身長は165cmですが、両足の裏がべったり……とはいきません。でも、フルカウルスポーツに慣れている方なら「想定内」の気にならない範囲だと思います。

車体自体が重くない(重量189kg)ので、多少かかとが浮いていても支えるのに不安はありません。ただ、かまぼこ状になっている道路の左端などに停めるとき、小柄な方は少し注意が必要でしょう。

画像: 足つきチェックと、未来のオーナーさんへ伝えたいポイント

このNinja ZX-4RR、サイドスタンドをかけた時の車体の傾きが大きめです。 傾斜のある道路の端にスタンドを合わせたり、地盤が少し沈み込むような場所にうかつに駐車すると、スタンド側に「グラッ」と倒れてしまいそう。

駐車する際は、道路の傾斜を気にしつつ停めるか、ツーリング先ではスタンドの下に敷く板などを常備しておくと安心だと思います。大切な愛車を守るためにも、ここだけは気をつけてあげてくださいね。

スーパースポーツだけど「毎日」乗れる、乗りたくなる

画像: スーパースポーツだけど「毎日」乗れる、乗りたくなる

通勤したり、ちょこっとツーリングをしたり。しばらく乗ってみて感じたのは、Ninja ZX-4RRは「懐の広いスポーツバイク」だということです。

好きで購入したモーターサイクルなら、本当は毎日でも乗りたいはず。けれども扱いが難しかったり、乗っていて体力を使うモデルだと、どうしても「毎日」は乗る気になれないもの。

このNinja ZX-4RRは、もちろん見た目の通り、ワインディングやスポーツ走行を全開で楽しめるモーターサイクルである一方、本当に毎日乗りたくなる、毎日乗れる、街乗りや通勤もしっかり楽しめるモデルでした。

どんなライダーが乗っても、「バイクって楽しい!」と素直に思わせてくれる魅力が詰まったNinja ZX-4RR。スペックや数値だけじゃない、乗って初めてわかる「心地よさ」と「ワクワク感」を、あなたもぜひ味わってみてください。

文:大冨 涼、写真:南 孝幸、Kawasaki Good Times Journal 編集部

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