子どもから大人まで楽しめるATVのエントリーモデル「KFX50」

Kawasaki
KFX50
クローズドコース専用モデル
総排気量:50cc
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒
シート高:635mm
車両重量:113kg
税込価格:46万2000円
世界屈指のモーターサイクルメーカーとして有名なカワサキモータースですが、造っているのは二輪車だけではありません。ジェットスキーやオフロード四輪車も各界で人気を博しています。ATVの「KFX」シリーズもそのひとつです。
今回はそんな四輪オフロードビークル「KFX」シリーズのうち、エントリーモデルに相当する「KFX50」に試乗しました。




対象年齢は6歳から。つまり小学1年生から乗ることのできる車両ですが、対面すると想像以上に存在感のある車格で、驚きました。
カワサキ製モーターサイクルのスポーツモデルにも通ずるアグレッシブなイメージのフロントマスク。象徴的なライムグリーンカラーをまとい、スタイリングも本格的で、オフロード走行への期待感が高まります。

▲ライダーの身長:174cm|シート高:635mm

▲ライダーの身長:174cm|シート高:635mm

▲ライダーの身長:174cm|シート高:635mm

▲大人サイズのブーツがすっぽりハマるくらいのフロアボード。こう見えて意外に窮屈感は少ないです。
身長174cmの私が乗っても、思いのほかに窮屈な感じはしませんでした。乗車位置はやや後ろ気味になりますが、シートやハンドルの構造的に乗車姿勢はモーターサイクルと近い印象です。
四輪のKFX50は基本的にフロアボードに足を置いているため、足つき性を気にする必要がありません。立ちゴケの心配がいらないので、初めてのオフロード走行でも頼もしく感じるでしょう。

ボディと一体型のフロアボードは、しっかり踏ん張りがきき、すぐにライディングポジションをカチッとかためることができました。
始動はスイッチで行うエレクトリックスターターのほか、キックスターターも備えています。



搭載するエンジンは、最高出力3.5kW(4.8PS)/7500rpmを発揮するオートマチックの空冷4ストローク50ccエンジン。燃料噴霧方式にはキャブレターを採用しています。
アクセルはモーターサイクルのようなハンドルスロットルではなく、右ハンドルに設けられたバーです。これを押し込むことで加速します。

▲右手グリップの下部にあるアクセルレバーを押し込んで加速します。
一般的な50ccスクーターとほぼ変わらないパワースペックですが、速度は大人の小走り程度と控えめです。軽いお子さんが乗れば、大人よりもパワフルな走りができるでしょう。
四輪のため転倒のリスクが二輪車よりもかなり少なく、気負わずにアクセルを開けることができます。

▲乗車姿勢はオフロード二輪車に似ていて、上体は起きています。
今回試乗したコースは、行きは下り、帰りは登りの一本道でした。

路上には大小の石、中には拳程度のサイズのものも転がっていましたが、KFX50は4つのタイヤでそれらを確実に乗り越えていけます。
四輪ならではの安定感で力強く坂道や凹凸を超えていく、オフロードライディングの楽しさを気軽に味わえました。

左右独立の懸架方式で左右のフロントサスペンションが凹凸路面に追従します。

左右独立の懸架方式で左右のフロントサスペンションが凹凸路面に追従します。
独立懸架式のフロントサスペンションが路面の衝撃を緩和し、片輪が段差に乗り上げても姿勢を大きく崩すことなく進んでいけるのが感動的でした。
ブレーキを強くかけてしまっても、モーターサイクルと異なりタイヤがロックして転倒、なんてことがないので強気で挑めるのも嬉しいところ。
石や轍に足をとられることがあっても、モーターサイクルと違い多少強引にハンドルを切って脱出できます。四輪であること、転倒の心配が少ないことは、あらゆる場面で頼もしく感じます。

かといってハンドルに頼りきりというワケではなく、ギャップで跳ねる車体を御するのに荷重移動を用います。ライディング気分は充分に味わえ、運転技術の差で、走りは大きく変わりそうだと感じました。技術を上達させていく楽しさは、モーターサイクルと同様に味わえるはずです。
モーターサイクルとは明らかに異なる点もあります。主にステアリング操作で向きを変えるATVは、ハンドルを切ってアクセルを押し込んでいくと横Gが強く感じられます。これは四輪車のスポーツ走行ならではの感覚だと思いました。



一方、車格が小さいため気持ちよく曲がるには意識的に乗車姿勢を変えなければならず、その点はモーターサイクルによく似ています。
二輪と四輪が融合したような乗り味は、オフロードATVならではの面白さです。

小柄な車体ながら、モーターサイクルでは絶対に味わうことのできない楽しさがKFX50には詰まっています。
設計としては小学生くらいのお子さんが乗ることを前提としたモデルですが、モーターサイクルでもクルマでもないこの乗り物は、大の大人が乗ってもワクワクしますよ!

今回は大小の石が絶え間なく転がる環境での試乗でしたが、もっとフラットなたとえば砂地のような場所では、リアがスライドするくらい思い切りアクセルを開けるのも面白そうだと思いました。
ガレ道は地面を力強く踏みしめながら、フラットダートは爽快感たっぷり……いろいろな楽しみ方ができそうです。

経験に合わせて速度を設定できる「アジャスタブルスロットルリミッター」も搭載されています。安全に子どもも大人も楽しめるATV「KFX50」は、オフロードデビューマシンとして、おすすめです!
文:石神邦比古/写真:Kawasaki Good Times 編集部