2025年3月29日にデビューした「Ninja 1100SX」シリーズ。この記事では、Ninja 1000を長年乗り続けたベテランテスター太田安治氏による「Ninja 1100SX SE」のファーストインプレッションをお届けします。

「極成」のスポーツツアラー、ライダーを深く満たす熟成の境地へ

画像: Kawasaki Ninja 1100SX SE 2025年モデル 総排気量:1098cc エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:820mm 車両重量:235kg 発売日:2025年3月29日(土) 税込価格:198万円 ※撮影車両のロングスクリーンとパニアケースはアクセサリーパーツです。

Kawasaki
Ninja 1100SX SE
2025年モデル

総排気量:1098cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:235kg

発売日:2025年3月29日(土)
税込価格:198万円

※撮影車両のロングスクリーンとパニアケースはアクセサリーパーツです。

2011年に登場したNinja 1000。その快適さとエキサイティング感の好バランスに魅せられた僕は2012年型を購入し、高速道路メインの通勤と年に数回の長距離ツーリング、月刊『オートバイ』でのタイヤやパーツのテストを行いながら11年間で約5万km乗ったが、物足りない、飽きた、と感じたことは一度もない。

とはいえ初代登場から14年が経過しているだけに、そろそろフルチェンジしてもいい頃だと思っていた。しかし2025年型Ninja 1100SX SEに試乗し、キープコンセプトで熟成を進めた開発姿勢は紛れもなく正しいと思い知らされた。

エンジンはストロークを3mm伸ばして排気量を1043ccから1098ccにアップ。最高出力/最大トルクの発生回転数はそれぞれ1000回転/400回転下がっている。つまり使う機会の少ないピークパワーを追わず、常用回転域での力強さを狙った変更で、その恩恵は走り出した瞬間に実感できる。

画像: 「極成」のスポーツツアラー、ライダーを深く満たす熟成の境地へ

ゼロ発進ではアイドリング回転からスルリと動き出し、3000回転以下でショートシフトしようが、6速・40km/hから無造作にスロットルを開けようが、何事もなくスムーズに加速する。前モデルで同様の操作をするとギクシャクした動きが出ることがあったが、それらのネガ要素は完全に消えた。

もうひとつ見逃せないのは高速道路でのクルージング快適性が引き上げられたこと。前モデルは6速・100km/h時に約4200回転。ツアラーとしては「回っている」感が気になった僕はドリブンスプロケットを3丁小さくして対処していた。

新型は5速と6速のギアレシオがロングに変更されて100km/h時が4000回転に下がり、ハンドルから伝わる微振動も減った。2000回転台でも小気味よく入るシフターと併せ、エンジンの仕上がりには文句の付けようがない。

どんなライダーも虜にする懐の深さ

画像1: どんなライダーも虜にする懐の深さ

クルージングではしっとり落ち着いていて、スポーツライディングとなればスーパースポーツモデルを追い回す自在さを備えているハンドリングは初代から変わらないニンジャの魅力。試乗した『SE』はスタンダードモデルより約21万円高価だが、僕はそれ以上の価値を感じる。

以前からカワサキはオーリンズ製サスペンションのセットアップが巧みだが、ニンジャとの組み合わせでは市街地での乗り心地が上質になっているだけではなく、バンクしているときの加減速とギャップ通過時の安定性が明らかに高くなっている。

画像2: どんなライダーも虜にする懐の深さ

フロントのブレンボ製キャリパー/ディスクは制動力自体が高いうえにパッドとディスクの当たる感触がレバーに優しく伝わり、微妙なコントロールもしやすい。こうした極上の感覚が約21万円プラスで得られるのは間違いなくお得だ。

今回のモデルチェンジで「極上」から「極成」のスポーツツアラーになったというのが結論。僕の感覚では完成度95%。残りの5%は、さらなる軽量化とシート高ダウン、そして要求レベルを超える改良、思いも付かない変更が加えられる余地として残しておく。

文:太田安治/写真:赤松 孝 
※この記事は月刊『オートバイ』2025年8月号(モーターマガジン社)に掲載されたものを一部編集し公開しています。

This article is a sponsored article by
''.