▶▶▶【前編はこちら】本記事は大規模リニューアルレポートの【後編】です。エントランスや歴史コーナーを紹介した前編記事はこちらからご覧ください。
万博のコンセプトモデルから体感する、川崎重工グループが描く「移動の未来」


2025年開催の大阪・関西万博で展示された川崎重工グループの「未来のモビリティ」が、2026年3月27日よりカワサキワールドにて常設展示されています。万博の会場に足を運べなかった来館者も、最先端の技術を間近で観察できるエリアとなっています。
このブースでは、人間が根源的に持つ「移動本能(Impulse to Move)」をメインコンセプトに掲げ、同社が描く未来のモビリティのあり方を2つのアプローチから提示しています。
■ALICE SYSTEM(アリスシステム)



展示の主軸となるのは、次世代の公共交通システム「ALICE SYSTEM(アリスシステム)」です。コンテナ状のキャビンに乗り込むことで、車、鉄道、船、飛行機へ自動で乗り継ぎ、目的地まで乗り換えなしで移動できるシステムを提案しています。移動に伴う負担を軽減する、未来の交通インフラのあり方が提示されています。


キャビン内には快適性を追求したシートに加え、車いすのままスムーズに乗り込めるフリースペースが確保されており、誰もが快適に移動できるユニバーサルデザインが採用されています。

ひとつのキャビンが、飛行機(Aircraft)、鉄道(Rail)、自動車(Car)、船舶(Ship)といった異なる輸送手段の間をシームレスに移動できる、未来の統合型交通システムをアイコンで表現しています。

キャビンの外、鉄道車両の先頭部に設けられた開放的なラウンジ空間。移動中も乗客がリラックスして過ごせるよう、快適なソファシートが配置されています。
■CORLEO(コルレオ)


あわせて、4脚型のオフロードパーソナルモビリティ「CORLEO(コルレオ)」も公開されています。ロボティクス技術による悪路走行性能と、モーターサイクル開発で培った操縦安定性を融合させた、操縦性と安心感を両立したモビリティです。
万博で注目を集めたこれら2つのコンセプトモデルを通じて、同社が目指す「移動の未来」の一端を確かめることができます。


ネーミングは獅子(レオ)のようなデザインから来るものだが、脚部は「ひづめ」を持つ有蹄類(ゆうているい)の構造から着想を得ています。滑りにくく路面の凹凸を吸収するラバー素材の左右二分割構造により、草原や岩場、がれ場などあらゆる地形で機体の安定を実現しています。
模型実験と刷新されたシミュレーターで構成される、新たな体験型飛行ゾーン
カワサキワールドに、飛行機の模型や刷新されたシミュレーターを通じて、航空技術やものづくりの仕組みを体験できる新しいエリアが新設されました。
新設された「フライト研究所」の主な展示は、飛行機の模型を使用した体験型の展示物です。飛行機が安定して飛行するために不可欠な「重心バランス」をテーマとしており、来館者が試行錯誤しながら模型を動かすことで、航空機設計における工夫や基礎的な考え方を学ぶことができる構成となっています。子どもから大人まで楽しめる、見どころ満載な新スポットです。
■フライト研究所


会場には、スチロール製の飛行機部材とおもり用のクリップ、自分好みのデザインに仕上げるためのカラーペンなどが用意されています。


組み立てはとても簡単で、本体に主翼と尾翼を差し込むだけで完成します。まずは、そのまま射出機にセットして飛ばしてみましょう。

しかし、そのままだと頭が軽すぎて上へ浮き上がってしまいます。
目標は、飛行機をうまく射出して手前と奥にあるふたつのリングをくぐらせることです。


今度は、クリップなどを使っておもりを取り付けてみます。

残念ながら、今度は重すぎて届きませんでした。


コツを解説した動画を参考にミッションクリアに挑戦しましょう。

射出装置の側面はクリアになっていて、どういうギミックで動いているのか確認できます。こういう部分からも、ものづくりへの独自のこだわりと熱意が伝わってきます。
■ フライトシミュレーター
従来から人気の高かった「フライトシミュレーター」もリニューアルされました。今回の改修により映像の鮮明さと操作性が一新され、より実機に近い本格的な操縦環境へとアップデートされています。
ブースには、コックピットの計器類を詳細に映し出す湾曲型のワイドモニターと、実機を模した操縦桿、スロットルレバー、各種スイッチ類が備え付けられています。画面には速度や高度などの飛行データがリアルタイムでデジタル表示され、実際の飛行特性に準じた繊細なレバー操作を要求される本格的な仕様です。
体験にあたっては、手元の案内表示に沿ってスロットルレバーや操縦桿を動かしてコントロールを行います。
飛行が開始されると、正面の大型モニターには神戸港周辺の景観や滑走路が鮮明に描写され、機体の傾きに合わせて画面内の視界も大きく変化する仕組みです。

空間設計が一新され、湾曲型の大型ワイドモニターが導入されたフライトシミュレーターの筐体。

コックピットの複雑なアナログ計器や、飛行データがリアルタイム表示されるモニター画面。

実機仕様の操縦桿と右横のスロットルレバーを用いて、操作手順に沿って操縦を行う。

機体の挙動や傾きと連動し、滑走路や周囲の景色が立体的に描写されるフライト体験画面。
新しく整備されたこの体験エリアでは、フライト研究所による模型実験とシミュレーターによる操縦体験の双方から、航空技術の仕組みに多角的に触れることができます。
変わらない魅力を放つ、新幹線と大型ヘリコプターの実機展示エリア






今回のリニューアルにおいて、展示内容がそのまま維持されたコーナーもあります。同館のシンボルとして親しまれてきた、鉄道と航空機の大型実機展示エリアです。実際に車内や機内へと立ち入れる体験型の仕様は変わらず、リニューアル後も根強い人気を集めています。
陸の展示である「0系新幹線」は、川崎重工兵庫工場(現川崎車両)で製造された歴史的車両です。来館者は客室のシートに座ることができるほか、運転席(コクピット)に入って実物のアナログ計器や制御レバーを間近で観察することができます。また、車体傍らには新幹線の床下を支える「台車」の実物もあわせて展示されています。



空の展示である「川崎バートルKV-107II型ヘリコプター」は、同社が国産化した輸送機です。こちらも後部タラップから広大な機内へと立ち入ることが可能で、壁面にはローターブレード(回転翼)の実物などが展示されています。
最新のデジタル演出が導入された一方で、五感で触れられる実物の迫力は、新生カワサキワールドにおいても変わらぬ定番の魅力として健在です。
精巧な街並みを走る、人気展示の「鉄道模型ジオラマ」






大型実機展示と並び、従来から人気を誇るのが「鉄道模型ジオラマ」のコーナーです。
「神戸とその周辺ではたらくKawasaki製品」というテーマのもと、都市や港湾を模した街並みがミニチュアで再現されています。ジオラマ内には「カワサキワールド駅」が設けられており、高架線や地上線を新幹線をはじめとする多種多様な鉄道模型が走行しています。
また、線路の周辺を観察すると、水面に「ジェットスキー」が係留されていたり、広場に「モーターサイクル(バイク)」が配置されていたりと、同社グループの製品が随所に隠されています。
リニューアルを経ても変わらず、多くの来館者が足を止める展示エリアとなっています。
産業用ロボットと制御技術の仕組みを体験する、参加型展示エリア
ものづくりの最前線で活躍する産業用ロボットと、それを支える高度な制御技術の仕組みを楽しく学べる参加型展示エリア。実際のジョイスティックを用いた重機の操作シミュレーションや、精密なアーム制御を体感できるゲームなど、最先端の工学テクノロジーを直感的に体験できます。
■ ロボットアームを操縦しよう「ロボットビンゴアトラクション」


実際の産業用ロボットアームをレバーで操縦し、ボールを運んでビンゴを狙うアトラクションです。精密な位置決めや、指示通りに正確に動くロボットアームの高度な制御技術を、操作を通じて直感的に体験できる設計となっています。
■ 油圧バルブを操作しよう「油圧バルブアトラクション」



建設機械のパワーの源である「油圧バルブ」の制御システムを模したアトラクションです。手元のジョイスティック(レバー)を操作して、パワーショベルの「掘る」「すくう」「あげる」「おろす」といった一連の動作の仕組みを体験できます。
■ パスカルとヒューマの「コロコロファクトリー」


オリジナルキャラクターの「パスカル」と「ヒューマ」が登場する、ボール仕掛けの大型展示ブースです。同社製の双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」が精密に動作し、ボールを運んだり仕分けたりする一連のファクトリーオートメーション(工場自動化)のシステムを見学することができます。
ミュージアムショップ





退館動線に位置する神戸海洋博物館のショップでは、カワサキワールドにちなんだ各種オリジナルグッズが販売されています。
物販コーナーには、歴代モーターサイクルのロゴを配したキーホルダーやキャップ、Tシャツなどのアパレル類が展開されています。さらに、神戸海洋博物館限定のブロック玩具「リブロック モーターサイクル」といった限定品も用意されています。

また、新製品として「カワサキワールド オリジナルカレー」(税込540円)も登場しました。パッケージに展示モビリティのイラストがあしらわれた、同館ならではの食品土産となっています。
施設情報

開館20周年の節目に実施された今回の初の大規模リニューアルにより、カワサキワールドは展示の情報量と体験型コンテンツの機能性を大きく向上させました。
創業の歴史を伝える新たなアニメーション上映から、大阪・関西万博で注目を集めた次世代モビリティの常設展示、そして仕組みを体感できる最新の飛行シミュレーターやロボット技術の体験ブースまで、各エリアで同社のものづくりの系譜を多角的に学べる設計となっています。
長年親しまれてきた新幹線やヘリコプターの実機展示、精巧な鉄道模型ジオラマといった定番の魅力も健在であり、世代を問わず技術の本質に触れられる施設として、さらなる進化を遂げています。
• 施設名:神戸海洋博物館 / カワサキワールド
• 開館時間:10:00 ~ 18:00(最終入館は17:30まで)
• 休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)
• 入館料(共通券):大人(高校生以上)900円、小・中学生 400円
※神戸海洋博物館とカワサキワールドの両施設に入館可能です。



