
Kawasaki
MEGURO K3
2026年モデル
総排気量:773cc
エンジン形式:空冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒
シート高:790mm
車両重量:227kg
発売日:2025年11月1日
税込価格:141万9000円
性能の壁を超えて心躍らせるモーターサイクル原初の魅力
2021年に登場したMEGURO K3。
高性能な大型モデルで日本の二輪業界をリードした目黒製作所。その技術と精神は1964年のカワサキ(当時の川崎航空機工業)との提携を経て受け継がれました。MEGURO K3は、名車「K」シリーズの姿を現代に蘇らせたクラシックロードスターです。

2025年モデルではグラフィックが変更され、リムカラーをブラックとしたことでさらに高級感と重厚感が高められました。
ベースとなっているのは2019年に復活した「W800」。エンジンの仕様やセッティングに違いはありませんが、大きく変更されているのがハンドルです。

W800が一文字に近い、低めのバーハンドルを装備するのに対し、MEGURO K3は大きく手前に引かれたワイドなハンドルを採用しています。
60年代のモーターサイクルのイメージを色濃く反映しており、このモデルがオマージュした「カワサキ500 メグロK2」にも同じようなハンドルが装備されていました。
現代のモーターサイクルでは、あまりお目にかかれないハンドル形状ですが、跨ってみると不自然な印象は全くなく、ライディングポジションはかなり楽です。

ライダーの身長・体重:175cm・58kg

ライダーの身長・体重:175cm・58kg
MEGURO K3のシート高は790mm。上半身がすっと起きる自然なライディングポジションを採用しており、車体との一体感を感じやすい設計です。停車時にも車体を落ち着いて支えやすく、ゆとりのある乗車姿勢で快適なライディングを楽しめます。
また、多くのパーツに金属素材が使われているため、車両重量は227kgとミドルクラスとしてはやや重めです。しかし、軽さを追求するスポーツモデルとは一線を画すこのバイクにとって、クラシカルな佇まいにふさわしい重厚感や手応えは、むしろ大きな魅力と言えます。

取り回しに関して気を遣う部分はあれど、丁寧に接する時間もこのモーターサイクルだと苦になりません。
コンパクトなスイッチボックスのスターターを押し込むと、773ccのパラツインエンジンが身震いするように車体を揺らし、エンジンが始動。極低回転からトルクフルな特性のエンジンは、クラッチをつなげば力強く車体を押し出し、状況によっては半クラッチを使わずとも発進できるほどでした。

パワー自体は最高出力52PSと、同排気量のスポーツモデルに比べれば控えめですが、2000、3000回転付近でもしっかりトルクがあるので、加速に際して忙しないシフトチェンジやスロットルオープンは必要ありません。心地いい鼓動感と共に、自然と交通の流れに乗ることができるでしょう。
交差点やカーブでは、フロント19インチの大径タイヤと手前に大きく引かれたハンドルによって、かなりおおらかな旋回性を感じられます。一方で、ワイドなハンドルは全切りすると外側の手が遠くなり、内側の手は身体に近くなりすぎるため、小回りの利いたUターンには少しコツが必要です。

しかし通常の姿勢で乗っている時には、ハンドルが手前に向いていることから低速でも安定して操作することができ、バンクの際に感じるモーターサイクル特有の怖さもありません。
こうした、どっしりと重量感のある車体をワイドなハンドルで操り曲がっていく独特のフィーリングは、機敏・速い・軽いと3拍子揃った現代のスポーツモーターサイクルでは体感できない魅力でしょう。
疲れ知らずのライディングポジションと大型モデルらしい十分なトルク、安定したハンドリングは、のんびりとしたペースで街中を走るのには十二分の性能です。
分厚いシートと柔軟な足まわりのセッティングも相まって、多少舗装が悪い道でも安心して走ることができました。

これだけ見ると“単に乗りやすい大型モーターサイクル”に見えてしまいそうですが、その走りの魅力を引き立てているのは、オーナーの所有感を満たす美しいスタイリングと、優しくも力強いエンジンの鼓動感なのです。
美しいメッキ塗装が施されたティアドロップタンクに映り込む空は、何度見ても飽きがきません。
常に視界に収まるメーターはクラシカルな2連デザインを採用し、情報量を絞ったシンプルな文字盤からは、素朴ながらもこだわりが感じられます。それと同時に、アナログで動く二つの針は、デジタルメーターでは味わえない趣深いつくりでしょう。



それでいて、エンジンから伝わる鼓動感とキャブトンマフラーから響くサウンドは、物足りなさもなければ、煩わしさもない、絶妙な心地よさを演出している──MEGURO K3は、卓越した運動性能や、高度な電子装備を持ったマシンではありません。
しかし、眺めているだけで胸躍る美しいスタイリングや、気疲れしない乗り心地の良さを備えており、性能を超えた領域で、モーターサイクル原初の喜びを味わうことができる魅力的なモデルなのです。
文:石神邦比古/写真:長谷川 徹/まとめ:Kawasaki Good Times Journal編集部
MEGURO K3に関するよくある質問
Q. W800とは何が違うのですか?
A.最も大きな違いは「ハンドル形状」です。エンジンやフレームなどの基本設計は共通ですが、W800がやや低めの一文字に近いハンドルなのに対し、MEGURO K3は手前に大きく引かれたワイドなハンドルを採用しています。これにより、上体が起きた、さらにゆったりとしたライディングポジションになっています。
Q. 車体重量が227kgとありますが、足つきや街乗りでの扱いはどうですか?
A.シート高は790mmで、上体が起きる乗車姿勢のおかげで体感的な足つきには余裕があります。また、低回転から非常にトルクフルなエンジンのため、走り出してしまえば重さを負担に感じることは少なく、むしろクラシックモデルならではの安定感や重厚感を楽しめます。
Q. どんなライダーにおすすめですか?
A.圧倒的なスピードや最新のスポーツ性能よりも、「モーターサイクル本来の鼓動感」や「金属パーツの美しいスタイリング」を愛せる方におすすめです。気疲れしない乗り心地の良さがあるため、のんびりと自分のペースで街乗りを楽しみたいライダーにぴったりの1台です。
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※動画内の車両は2021年モデルです
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