3か月ぶりのレースの舞台はモビリティリゾートもてぎ

全国のカワサキプラザネットワーク、そして多くのカワサキファンの皆様からの期待を一身に背負い、ST1000クラスに参戦する「Kawasaki Plaza Racing Team」が第5戦の舞台に降り立ちました。
今大会の舞台となるモビリティリゾートもてぎは、全長4,801mの国際レーシングコースです。その最大の特徴は、長いストレートの後に急減速を強いるタイトコーナーが連続する「ストップ&ゴー」と呼ばれる独特のコースレイアウトにあります。

名物の「90度コーナー」や「V字コーナー」など、フル加速から一気にフルブレーキングを行うため、フロントタイヤとフロントフォークには大きな負荷がかかります。さらに、そこから車体を素早く立ち上げて強烈な加速へと移るためのトラクションをいかに路面に伝えるかが重要になります。1000ccという大排気量とハイパワーを誇るST1000クラスのマシンにおいては、ライダーの繊細なスロットルワークと、それを支えるマシンの電子制御システムのセッティングが勝敗を大きく左右します。
今大会は土曜日にレース1、日曜日にレース2が行われる、ライダーとチームにとって非常に過酷な「2レース制」の変則ラウンドです。変わりゆく天候と先の読めない路面コンディションのなか、第5戦が行われました。
土曜日はウエットコンディションに
迎えた土曜日は、前日までのうだるような暑さは影を潜め、サーキット上空には重苦しい雨雲が立ち込めました。午前中に行われた公式予選は、コース各所に水溜まりができるほどのフルウエットコンディション。雨量は刻一刻と変化し、路面のグリップレベルを把握することが非常に困難な状況となりました。
水しぶきで前が見えない悪条件のなか、岩戸亮介選手と彌榮郡選手は、慎重かつ果敢にタイムアタックを敢行。決勝レース1に向けて、少しでも良いグリッドを獲得すべく雨のコースを駆け抜けました。彌榮選手は13番グリッド、岩戸選手は15番グリッドから決勝に挑みます。

12周で争われるST1000クラスの決勝レース1は、雨が降り続き、路面は完全なウエットコンディション。1000ccのモンスターマシンを雨の中でコントロールすることは、まさに「氷の上を走るようなもの」と形容されるほど、極度の集中力と高度な技術が要求されます。
レッドシグナルがブラックアウトし、激しいウォータースクリーンを巻き上げながら各車が一斉に第1コーナーへと飛び込んでいきます。前を走るマシンの水しぶきにより視界はほぼゼロに近い状態。少しでもブレーキを強く握りすぎたり、アクセルをラフに開けたりすれば、即座に転倒へと繋がるサバイバルレースの幕開けとなりました。
厳しいコンディションのなかで、Kawasaki Plaza Racing Teamの2台は、共に冷静さを発揮します。 岩戸選手は、長年のレース経験で培った路面状況を読み取る鋭い感覚を活かし、Ninja ZX-10Rのタイヤが滑り出す限界点を探りながら、決して焦ることなくラップタイムを刻んでいきます。ストップ&ゴーのもてぎ特有のハードブレーキング時にも、極めて滑らかな操作でマシンを安定させ、後続のプレッシャーを跳ね除ける我慢の走りを展開しました。

一方の彌榮選手も、この日は非常にクレバーなライディングを見せます。1000ccでの雨のレースという難易度の高いシチュエーションにおいて、岩戸選手と同じく「完走してデータを残すこと」の重要性を深く理解し、スリッピーな路面と格闘しながらも、着実にポジションを守り抜く粘り強さを発揮しました。
コースのあちこちで転倒者が続出する荒れた展開となるなか、Kawasaki Plaza Racing Teamの2台は最後まで集中力を途切らせることなくチェッカーフラッグを受けました。結果は、岩戸選手が12位、彌榮選手が13位でフィニッシュ。決して満足できる順位ではないかもしれません。しかし、一瞬のミスが命取りとなるこの雨のサバイバルレースにおいて、2台揃って確実にマシンをピットへ持ち帰ることは、チームにとって非常に大きな成果です。
日曜日は曇り空のなかドライレースに

日曜日は上空を雲が覆うなか、雨は降らずドライコンディションで行われました。12周で争われるレース2のスタートが切られると、チーム加入3年目の彌榮選手が序盤から冷静かつアグレッシブなライディングで前方の集団に食らいつきます。
1000ccのハイパワーマシンを巧みに操り、ストレートエンドでの鋭いブレーキングと立ち上がりの加速でライバルたちと互角のバトルを展開。前日のレース1からさらにマシンのフィーリングを向上させてペースを上げ、安定したラップタイムを刻み続けました。終盤まで集中力を切らすことなく走り抜いた彌榮選手は、見事9位でチェッカーを受け、苦戦しながらも着実に成績を残しました。

一方、チームを牽引するエースである岩戸選手も、意地の走りを見せます。マシンのセットアップと路面状況が完全にマッチしきらない苦しい時間帯もありましたが、持てる技術と経験を総動員してマシンの挙動を絶妙にコントロールし、力強いレースを展開。しかし、終盤にまさかの転倒を喫し、順位を落とすことに。それでも最後まで走り切り、15位でフィニッシュしました。
土曜日・日曜日と連日行われた過酷な第5戦もてぎ大会。Kawasaki Plaza Racing Teamは、目まぐるしく変わるコンディションのなかで2レースとも2台揃って完走を果たし、貴重なポイントに加え、今後のマシン開発に活かされる重要な実戦データも獲得しました。

目指す表彰台の頂点にはまだ届きませんが、厳しい環境下で見せた両ライダーの粘り強さと、それに呼応してマシンを仕上げたメカニックたちのチーム総合力は、次戦での飛躍に向けた大きな希望となるはずです。
今大会も全国のカワサキプラザから、そしてサーキットのスタンドや画面越しから多くの温かいご声援をいただき、誠にありがとうございました。次戦以降も、さらなる高みを目指して進化を止めないライムグリーンの挑戦に、引き続き熱い応援をよろしくお願いいたします。
文:河村大志/写真:Kawasaki/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部
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