※:以下、文:小川 勤/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部

Kawasaki
Z900RS SE
2026年モデル
総排気量:948cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:217kg
発売日:2026年2月14日
税込価格:183万7000円
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Zは、強い。走るほどに完成度の高さはもちろん、カワサキのZにかける情熱が伝わってくる。その「Z愛」は、目に見える性能ではない。しかし、ライダーの心に確実に響くものだ。
元々筆者はZ900RSが好きなのだが、26年モデルはそのバランスが大幅に向上。スタイリング面では、本来ブラウンの部分はブラックに、オレンジの部分はより高彩度とした新たなるファイアーボールカラーを採用し、「カワサキ900スーパー4」(通称:Z1)のイメージを現代に落とし込んでいる。
確実に感じられる進化によってZ900RSとの対話が深まり、ライダーが操る醍醐味に溢れていた。特にZ900RS SEの高い運動性は、完璧な完成度に映った。
一体感を生むポジションと、市街地でも光る従順なハンドリング

ライダー身長:165cm、シート高:820mm
跨るとスタンダードよりもリヤ上がりの姿勢がスポーティな雰囲気を強調する。
ウレタンフォームの厚みを増やしたタックロールシートは、一見従来よりも高くなっているように見えるが、足つきを犠牲にせず快適性が向上。さらに前モデルよりも若干低く狭くなったコンパクトなハンドルにより、モーターサイクルとの一体感を得やすい。

一般道を走り出すと少ない荷重移動で正確に反応してくれ、スポーツネイキッドと呼ぶに相応しい動きは、市街地でも峠でも従順。SEは、スタンダードよりもキビキビと走れ、運動性が高く上質であることがわかる。
パワーアップを果たしたエンジンと、官能的なZサウンド

ミッションやカムシャフトを変更したエンジンは、電子制御スロットルバルブの導入により5PSのパワーアップを実現するとともに、電子制御も充実。IMU連動のシステムでライダーをサポートし、トラクションコントロールも搭載する。
今回のモデルチェンジにおいて、エキゾーストノートの追求を一時諦めたタイミングもあったというが、メガホンタイプのサイレンサーは旧モデルより若干長く、チャンバーは小さくなったものの、消音とエキゾーストノートの追求を見事に両立。

ユーロ5+規制に対応しつつZらしさを希求し、きちんとカワサキ4気筒サウンドを奏でるという答えを導き出しているのである。
アップ&ダウン対応のクイックシフターも装備。クイックシフターは1500回転から常用でき、市街地でも正確に機能。クロスしたミッションとの相性も良い。

発進後、スロットルを微開に保ったまま6速までシフトアップし、そこからスロットルを戻して一気に1速までギヤを落としてみる。あえて意地悪な操作を試みても、シフトショックは驚くほど少ない。
さらに中高回転域では非常に心地よいシフトフィーリングを約束。発進・停止時や小回り、Uターンといった場面を除けば、クラッチレバーを握る必要はほぼ皆無だ。
ブレンボ&オーリンズが生み出す、サーキットレベルの運動性

Z900RS SEはコーナーの組み立てもスタンダードと異なる。
進入できちんと向きが変わるため、浅いバンクでコーナーをクリアできるのだ。フロントキャリパーはブレンボ製を採用し、ブレーキホースはスチールメッシュタイプ。アウターがゴールドになったフロントフォークにはSE専用のセッティングが施され、ライダーの意思が忠実に伝わる。
また、油圧プリロード調整機構付きのオーリンズ製S46リヤショックも上質で、ライダーの荷重変化はもちろん、スロットルやブレーキ操作にレスポンスよく反応する。


今回のモデルチェンジは、ルックスに大きな変更点はないものの、常に軽快なリズムを保つことができ、その中身はまるで別物だ。高い運動性や上質さが欲しいなら迷わずSEを選びたい。
サーキットでは高性能な足まわりがさらなる機能を発揮。リズミカルな印象がさらに際立つ。コーナーへのアプローチで理想的な進入ができるため、旋回時間が短く、立ち上がりの体勢へ導きやすい。
結果、スロットルを早く開けられるため、気持ちよさと速さが簡単に手に入る。スロットルの開けやすさや、高回転の伸びも前作から向上。サーキットでは、SEの進化がさらなる運動性に直結していることを確信することができた。
充実のユーティリティはツーリングシーンにも活きる

高性能な足まわりは乗り心地向上や疲労軽減にも貢献。まるで自分が上手くなったかのように走れ、その効果はクルーズコントロールを使用した長距離ツーリングでも体感可能だ。
加えて、ミツバサンコーワ製のGPS対応前後2カメラドライブレコーダーシステムやETCも標準装備しており、ユーティリティ面での抜かりもない。

2017年の衝撃のデビューから空前のヒットを続け、初のフルモデルチェンジを受けたZ900RSシリーズに隙はない。Zは理想的な形で進化し、伝統を継承している。「Zをどう表現するか」。その答えをカワサキが真剣に考えて抜いている。ライバルがこの牙城を崩すのは、かなり困難だろう。
文:小川 勤/写真:南 孝幸、松川 忍/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部/場所:東京ドイツ村



