チームにとってホームのオートポリス
西嶋修監督が率いるKawasaki Plaza Racing Teamは、エースライダーである岩戸亮介選手と、チーム加入3年目を迎え急成長を遂げている若手の彌榮郡選手の強固な2名体制で今シーズンに臨んでいます。今季から投入された新型「Ninja ZX-10R」は、開幕前のテスト段階から高いポテンシャルを発揮しており、前戦のSUGO大会でも確かな手応えを掴んでいました。
今大会の舞台であるオートポリスは、全長4,674mのスケールを誇り、国内でも屈指のダイナミックなコースレイアウトを持つ国際レーシングコースです。
最大の特徴は、なんといってもその激しいアップダウン。高低差は約52mにも及び、急勾配を一気に駆け下りる「ジェットコースターストレート」や、ブラインドコーナーが連続するテクニカルな第3セクターなど、ライダーの勇気と繊細なマシンのコントロール技術が強く求められます。

▲多くのファンが足を運んだ今大会。ファンの眼差しを一身に受けるライムグリーンのマシンたち。
また、カワサキにとってオートポリスは、単なる国内サーキットの一つにとどまりません。歴史的にカワサキのモーターサイクル開発における重要なテストコースとして機能してきた背景があり、カワサキのDNAが深く刻み込まれた、まさに「地元・ホームコース」と呼ぶべき聖地です。
ピットウォークやグランドスタンドには、ライムグリーンのウェアやフラッグを掲げた熱狂的なカワサキファンが多数詰めかけ、ホームならではの圧倒的な一体感と温かい空気がチームを包み込みます。

▲チーム、そしてライダーにとっても地元でのレースとなる今大会。Kawasaki Plaza Racing Teamのピットには多くのファンが訪れました。
一方で、標高約800mという高地に位置するため、平地のサーキットとは気圧や気温の条件が大きく異なります。空気密度が薄い環境下ではエンジン本来のパワーを引き出すことが難しく、キャブレター時代からメカニックを悩ませてきた「オートポリスの魔物」が潜んでいます。

▲タイムを上げるため、決勝に向けたミーティングも入念に。
そんな厳しさもありながら好成績が期待される九州での一戦に、Kawasaki Plaza Racing Teamは新型Ninja ZX-10Rと蓄積されたデータをフル活用してホームでの戦いに挑みます。

▲前戦では見事な追い上げをみせた彌榮選手。地元九州で上位進出を狙います。
厳しい展開も2台揃ってトップ10入り
決勝日は、上空に青空が広がり、遠くにはぽっかりと白い雲が浮かぶ絵に描いたような初夏の陽気となりました。
強い日差しによって路面温度は急上昇し、陽炎が立ち上るほどのタフなコンディション。ST1000クラスは市販車ベースのハイパワーマシンにワンメイクタイヤを装着して戦うため、この路面温度の上昇によるタイヤの急激な消耗(デグラデーション)をいかにマネジメントするかが、レースの勝敗を分ける大きな鍵となります。
土曜日に行われた予選では、岩戸選手が6番グリッド、彌榮選手が14番グリッドを獲得。日曜日の午後に行われたST1000クラスの決勝レースでは、岩戸選手が6番手のポジションをキープしつつ、上位勢にくらいつきます。

▲タイヤが厳しいなか、集中力を切らすことなく上位を狙う岩戸選手。
しかし、レース序盤からハイペースで走る上位勢に対し、岩戸選手はペースが上がらず、後方のライダーを抑え込む展開となります。この日のオートポリスは気温32度とライダー、マシン、そしてタイヤに厳しいコンディション。ただでさえタイヤへの負担が大きいサーキットでこの高温となると、タイヤの消耗が激しく、岩戸選手は少しずつポジションを下げていきます。
一方の彌榮選手も、若さあふれるアグレッシブな走りで中団グループから虎視眈々とポジションアップを狙います。SUGOでの追い上げを再現するかの如く、少しずつ順位を上げていきます。
そんななか、レースは折り返しとなる7周目に他車の転倒により一時中断。すでにレース半分の周回を走ったタイヤで、8周の超スプリントレースとなりました。
岩戸選手は11番手、彌榮選手は12番手から再スタートを切り、粘りの走りをみせたKawasaki Plaza Racing Teamの2台。岩戸選手が9位、彌榮選手が10位でチェッカーを受けました。
地元レースで表彰台、そして優勝を狙っていただけに、悔しさを滲ませる岩戸選手と彌榮選手の表情が印象的でした。しかし、マシンが決まらない中、厳しいコンディション下で粘りの走りをみせてくれたライダーに、応援してくれたファンの方は胸が熱くなったことでしょう。
地元オートポリスで、ライダーもチームも並々ならぬ気合いで臨んだ九州大会。トップ争いに加わりきれなかった悔しさは残りますが、新型マシンのセットアップの方向性が明確になり、タイヤマネジメントという課題に対しても大きな収穫を得られたレースでした。
次戦は3カ月後、7月には鈴鹿8耐も
オートポリスでのタフな一戦を終え、全日本ロードレース選手権の舞台は次戦へと移ります。ST1000クラスの戦いはますます激化し、ポイントランキング争いも緊迫の度合いを増していくなか、Kawasaki Plaza Racing Teamは立ち止まることなく進化を続けます。
また、チームにとって全日本ロードレースと並ぶ今シーズンのもう一つの大きな柱が、真夏の祭典「FIM世界耐久選手権 "コカ・コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース(SSTクラス)」への参戦です。オートポリスで得られた膨大なデータと、過酷な路面温度下でのタイヤマネジメントの経験は、灼熱の鈴鹿を戦い抜くための貴重な財産となります。次戦に向けた準備と並行して、鈴鹿8耐に向けた合同テストなども本格化しており、チームの士気は最高潮に達しています。
全国のカワサキプラザ関係者、そして日頃から温かいご声援を送ってくださるファンの皆様の存在が、チームの原動力であり、最大のモチベーションです。表彰台の頂点、そして鈴鹿でのクラス優勝という目標に向かって、Kawasaki Plaza Racing Teamはこれからも全力で駆け抜けます。引き続き、ライムグリーンの挑戦への熱いご声援をよろしくお願いいたします!

▲ファンの声援がKawasaki Plaza Racing Teamの力になります!
文:河村大志/写真:Kawasaki/まとめ:Kawasaki Good Times Journal 編集部


