カワサキが初めて手掛けた自転車「noslisu」は、前2輪・後1輪のユニークな電動3輪ビークルです。今回は長期使用レビュー記事の第3弾「郊外テスト編」として、「郊外の市街地における実用性」や「サイクリングを楽しめるか」について検証します。

大都市ではなく郊外での実力を検証

モーターサイクルブランドとして名高いカワサキが、満を持して世に送り出した初の電動3輪ビークル「noslisu(ノスリス)」。都内で走行性能をチェックした際は、前2輪・後1輪という独創的なスタイルによる安定感が好印象でした。

今回は長期使用レビューの第3弾として舞台を郊外へと移動。都内から車・電車で1時間ほどの距離にある「自転車に優しい街」茨城県つくば市、そして国指定のナショナルサイクルルートである「つくば霞ヶ浦りんりんロード」にて、平坦な郊外路や広大な湖畔での走行を通じ、noslisuの真の実力に迫ります。

自転車の理想郷「つくば」で見えた、noslisuの実用性

つくばの中心部は、自転車も走行可能な歩道が網の目のように整備されており、しかも道幅が広いため、noslisuのようなユニークな車両を試すには絶好の環境となっています。

主要な商業施設や飲食店も平置きスタイルの駐輪場なので、前2輪という変則的なモビリティであるnoslisuであっても気にすることなく駐輪可能です。

画像: ▲サイクルラックのない平置きタイプの駐輪スペースでは、車体形状を気にせず駐輪できます。

▲サイクルラックのない平置きタイプの駐輪スペースでは、車体形状を気にせず駐輪できます。

画像: ▲noslisuには後輪ロックが標準装備されていますが、盗難防止のためにチェーンロックを併用すると安心です。

▲noslisuには後輪ロックが標準装備されていますが、盗難防止のためにチェーンロックを併用すると安心です。

なお、意外なことにnoslisuの全幅は59.5cmと一般的な「ママチャリ」の規格内に収まっています。少なくとも、平置きタイプの駐輪場であるかぎりは、隣の自転車に干渉することなくスムーズに停めることができるでしょう。

また、noslisuには最大20kgまで積載可能なフロントバスケットが標準装備されています。一般的な自転車と異なり、ハンドルではなく「車体フレーム」に直接固定されているため、重い荷物を載せていてもハンドリングに重さやふらつきを感じることがありません。

郊外で日常使いをする際、スーパーマーケットでのまとめ買いや、撮影機材を積んでの移動など、荷物を載せて移動する「買い物サイクル」として活躍が期待できます。

画像: ▲ハンドルポストから独立した構造で、ハンドル操作時にふらつきません。 ※バスケット内に置いているバッグはアクセサリーアイテムです。

▲ハンドルポストから独立した構造で、ハンドル操作時にふらつきません。
※バスケット内に置いているバッグはアクセサリーアイテムです。

走行面で最も感動したのは、前2輪構造がもたらす「段差への強さ」です。

中心市街地を少し外れると、路面のひび割れや段差などが目立つようになりますが、noslisuであれば車体のバランスを崩すことなく通過できます。

歩道の段差に対して斜めに進入するシチュエーションなど、2輪の自転車では神経を使うような場面であっても、ふらつかず安定感を保ったまま走り抜けられる点は大きなアドバンテージです。

画像: 段差の乗り越え時も、独自開発の2輪ステア構造により安定して走行できます。

段差の乗り越え時も、独自開発の2輪ステア構造により安定して走行できます。

ただし、車体にはサスペンションが備わっておらず、標準装備のサドルもスポーティで硬めなため、段差の衝撃はダイレクトに身体に伝わります。快適性を重視するなら、厚みのあるサドルに交換するなどのカスタマイズも検討の余地があるでしょう。

廃線跡の直線路「つくばりんりんロード」を駆ける

続いて、旧筑波鉄道の跡地を利用した「つくばりんりんロード」へ繰り出しました。ここは鉄道跡ならではの直線的で平坦な道が続く、サイクリング初心者にも人気のコースです。

画像: ▲廃線跡らしく直線的で平坦な路面が続きます。自動車の通行がないのも嬉しいポイントです。

▲廃線跡らしく直線的で平坦な路面が続きます。自動車の通行がないのも嬉しいポイントです。

noslisuのタイヤ径は20インチと小径のため、ロードバイクのような高速巡航は得意分野ではありません。しかし、24km/hまでスムーズに介入する電動アシストにより、時速15〜20km程度でのクルージングは非常に快適です。

筑波山を望む田園風景の中、風を切って走る体験は、自動車のドライブでは決して味わえない開放感に満ちています。

画像: ▲筑波山と風を感じながらのサイクリングは爽快です。

▲筑波山と風を感じながらのサイクリングは爽快です。

ちなみに高速巡航のために「立ち漕ぎ」をするのはあまりおすすめしません。前述のようにnoslisuは小径タイヤであることに加え、ハンドルの位置が低くバランスを取るのが少し難しいです。

画像: ▲ハンドル形状や高さの関係で、立ち漕ぎ走行はあまり向いていない印象を受けました。

▲ハンドル形状や高さの関係で、立ち漕ぎ走行はあまり向いていない印象を受けました。

また、坂道においては、最も強いアシストモード「パワーモード」を選択すれば、踏み込んだ瞬間に強力なトルクが発生し、急坂であっても立ち漕ぎ不要でスイスイと登り切ってしまいます。日常生活において、息を切らして立ち漕ぎしなくてはならないシーンはほぼ存在しないでしょう。

一方で、前2輪ゆえの注意点もあります。noslisuは車体を傾けて曲がる構造ですが、傾斜角度には限界があるため、一般的な自転車に比べると小回りが利きにくい特性があります。急なカーブではあらかじめ十分に減速し、ペダルを止めて慎重に旋回するのがコツです。

画像: ▲2輪の自転車より走行安定性が高い代わりに旋回半径が大きいため、カーブ走行時は注意が必要です。

▲2輪の自転車より走行安定性が高い代わりに旋回半径が大きいため、カーブ走行時は注意が必要です。

向かい風に強い自転車というアドバンテージ

続いては、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の霞ヶ浦湖岸道路区間における走行レビューです。霞ヶ浦は、日本第2位の広さを誇る湖で、その周りをぐるりと1周できる湖畔道路が整備されています。

ここではサイクリストにとって大敵である「向かい風」に見舞われましたが、ここでもnoslisuの強みが光りました。

画像: ▲つくば霞ヶ浦りんりんロードには、霞ヶ浦湖畔をぐるりと一周する湖畔道路区間があります。

▲つくば霞ヶ浦りんりんロードには、霞ヶ浦湖畔をぐるりと一周する湖畔道路区間があります。

目に見えない壁のような向かい風の中でも、モーターアシストがペダリングを力強く補助。さらに前2輪の安定性が横風によるふらつきを抑えてくれるため、体力を消耗することなく景色を楽しむ余裕が生まれます。

むしろ風を切って進んでいく感触を楽しめるメリットもあるため、noslisuにとっては強風の日もサイクリング日和と言えるかもしれません。

段差や凸凹といった路面環境だけでなく、向かい風という気象条件でも安定して目的地へ進める安心感は、免許不要のモビリティとして非常に心強いポイントです。

画像: ▲湖の水面の先に筑波山を望むことができます。

▲湖の水面の先に筑波山を望むことができます。

【まとめ】日常をアップグレードする、新しい「買い物サイクル」の形

noslisuは、都心の狭い路地と比べると、つくばのような通行スペースに余裕がある郊外の方が、そのポテンシャルを発揮できます。今回の郊外テストを通じて、noslisuは実用的で頼もしいパートナーであることが分かりました。

  • 前2輪による抜群の安定性と段差走破性
  • 重い荷物を積んでも変わらないハンドリング性能
  • 向かい風や上り坂をものともしない強力なアシスト

また、航続距離はロングモードで103.1km、パワーモードで54.6kmと日常利用では十分なバッテリー容量を有しています。

画像: ▲平日は買い物サイクルとして、休日はプチサイクリングを楽しめる一台として、マルチに活躍可能です。

▲平日は買い物サイクルとして、休日はプチサイクリングを楽しめる一台として、マルチに活躍可能です。

郊外の広い道をゆったりと走り、荷物をたっぷり積んで目的地へ向かうといった用途において、頼りにできる自転車と言えるでしょう。

ちなみに、今回走行した「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、「つくばりんりんロード(40km)」区間と「霞ヶ浦湖岸道路(140km)」区間の計180km。全区間の走破には、ロングモードの利用や、予備バッテリーの携行などの工夫が必要です。

画像: ▲路面・気象コンディションによらず、安定した走行ができる電動アシスト自転車「noslisu」

▲路面・気象コンディションによらず、安定した走行ができる電動アシスト自転車「noslisu」

免許返納後の移動手段という観点で見ると、普段は日常の買い物をラクにしてくれるツールとして、週末にはレジャーの相棒として、マルチに活躍してくれます。

カワサキの技術と遊び心が詰まったnoslisuは、私たちのライフスタイルに新しい風を吹き込んでくれる一台になるはずです。

文:黒石研仁/写真:Kawasaki Good Times 編集部

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