
Kawasaki
Ninja ZX-25RR
2026年モデル
総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:785mm
車両重量:184kg
発売日:2025年10月1日
税込価格:105万2700円
公道でも恩恵を感じる『RR』の専用装備
1万回転を超えると活気づき、タコメーターのレッドゾーンが始まる1万7500回転まで一直線に伸びていくパワー感と、スクリーミング(叫び声)と表される甲高い吸排気サウンド。現行車では国内唯一の250cc・4気筒エンジンだけが持つエキサイティングな特性を、公道で存分に堪能できるのがNinja ZX-25Rだ。
初代は2020年9月に市販開始され、2023年4月にマフラーを変更して動力性能をアップしたほかフロントフォークや液晶メーターの仕様を変更。そして2026年モデルとして新たに加わったのが、レーシーなカラーリングが施され、車名末尾に「R」を二つ重ねたNinja ZX-25RR。

最大の特徴はシリーズ中で最もハイグレードな前後サスペンションを装備していること。フロントフォークは「SFF-BP」タイプで、プリロードアジャスター装備ほか、フォークが伸びきった際の挙動を穏やかにするトップアウトスプリングも追加された。リアのユニットはNinja ZX-4RRと同じく「BFRC-Lite」を採用し、伸側/圧側の減衰力とプリロードの調整が可能となっている。

▲ホリゾンタルバックリンク式リアサスペンション。Ninja ZX-25RRにはショーワ製リアショックアブソーバー「BFRC lite」を専用装備。

▲クリアのウインドシールドも『RR』の特徴(Ninja ZX-25R SEはスモークシールドを装備)。
これはサーキット志向を強めたのではなく、セッティング幅を広げることで街乗りでの快適性とスポーツライディング適性の両立を狙ったもの。
併売されているNinja ZX-25R SEはリアの硬さに対してフロントがソフトな設定で、公道でのギャップ吸収性に優れている反面、ハードブレーキングやクイックな切り返しではフォークストロークが大きくて速過ぎると感じる。

だがこの『RR』は前後のバランスが良く、乗り心地を損ねずに車体の挙動変化を抑えてくれる。結果、標準セッティングで対応できる荷重の幅が広がり、体重や走行環境に合わせて調整することで乗り心地やハンドリングの変化を実感できる。オートバイに対する理解、楽しみがより深くなる装備だ。

カタログ表記では最高出力がわずかに下がったが、公道上はまったく違いが感じられない。それよりもニュートラルから1速にシフトするとアイドリングが500回転ほど高くなり、ゼロ発進をイージーにしてくれる機構や6速・30km/h台からでも加速するフレキシブルさに感心する。6速・100km/h時は約9800回転で、最初は気ぜわしく感じるものの1時間ほど乗っていれば慣れてしまう。

ユーザー視線からは2気筒のNinja 250との違いが気になるはず。率直に言って公道で扱いやすいのはNinja 250だ。軽快なハンドリングと低中回転で力強いパワー特性により、ビギナーでも不安なく扱える。Ninja 250から乗り換えるとNinja ZX-25RRのハンドリングは重く感じるし、瞬発力を得るにはエンジン回転数、ギア段数に気を配る必要がある。つまりライダーのスキルが走りに反映されるということ。長く乗っても飽きが来ないのはNinja ZX-25RRのほうだ。

繰り返すが、4気筒の250ccエンジンは国内メーカーで唯一の存在。一度走らせれば、同クラスの単気筒、2気筒との違いに感動するだろう。
文:太田安治/写真:赤松 孝




