「KAZE Let’s Ride」とは?


「KAZE Let’s Ride」は、カワサキモータースジャパンが企画するライディング体験イベントです。
本イベントは「カワサキモーターサイクルを楽しむ第一歩」として2024年より全国各地で開催されており、サーキット走行が楽しめる「KAZE Let’s Ride オンロード」と、オフロード走行にトライできる「KAZE Let’s Ride オフロード」の2つのプログラムが用意されています。
どちらのプログラムも、クローズドコースでプロが各々のレベルに合わせて指導してくれます。そのため、車両を買ったばかりの初心者からベテランまで、誰でも気軽に楽しめるのが魅力です。

「KAZE Let’s Ride オフロード」に新クラスが追加!
初開催から2年目となる今回、オフロード走行を体験できる「KAZE Let’s Ride オフロード」に新しいクラスが追加。これまでも設定されていた、車両とライディングギアをフルレンタルで楽しむ「体験クラス」に加えて、自分の愛車で参加できる「トレールクラス」が用意されました。
この「トレールクラス」の特徴は、ナンバーの付いたオフロードモデル(KLX230など)と、プロテクター付きのライディングウエア、フルフェイスタイプのヘルメットといった、ツーリング用の安全装備があれば誰でも参加できる点です。車両メーカーの指定もありませんから、愛車でオフロードデビューしたいという方に最適です。
私は今回、特別に「KLX230 SHERPA」をお借りして体験してきました。

Kawasaki
KLX230 SHERPA
2025年モデル
総排気量:232cc
エンジン形式:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
シート高:845mm
車両重量:134kg
発売日:2024年12月25日
税込価格:63万8000円

▲身長165cmの私が乗るとこのようなライディングポジションになります。両足を下ろしてもつま先が着きますし、純正装備でナックルガードが付いているのも安心できるポイントです。

▲身長165cmの私が乗るとこのようなライディングポジションになります。両足を下ろしてもつま先が着きますし、純正装備でナックルガードが付いているのも安心できるポイントです。

▲こちらが2024年度も用意されていた「体験クラス」。モトクロスモデルと装備一式をすべてレンタルすることができるので、オフロードモデルを所有していない方でも参加が可能です。
【体験レポート】「KAZE Let’s Ride オフロード」トレールクラス
朝8時30分、受付スタート
会場となったのは、関西のオフロード乗りの間では有名なモトクロスコースだという、ライダーパーク生駒。ちょうど、大阪と奈良の県境である生駒山に位置しています。
11月下旬でしたが天気がよく、日差しもあり、暖かい一日でした。コース上の土は乾いており、存分にオフロード走行が楽しめそうな日和となりました。

本スクールは午前と午後の2部制です。私は午前の部に参加するため、受付は朝8時30分から。
会場に到着したら、さっそく受付へ。同意書を記入し、ウエアの上から着用するビブスを受け取ります。胸ポケットには手づくりの名札が入っており、コミュニケーションがとりやすいのも特徴です。


「トレールクラス」のウエアと装具
開校式は9時10分から。この時間までに、各自ライディングウエアに着替え、車両を準備していきます。 私は「トレールクラス」ですので、装備はすべて持参しました。

上半身はプロテクター入りインナーの上に、通気性の良いジャケットを着用。足元は膝プロテクターに加え、ハイカットのライディングシューズを合わせました。
グローブは薄手で操作のしやすいものを選んでいますが、万一の転倒に備えて、拳にプロテクションが入ったものを着用しています。



なお、「ツーリングの装備で参加OK」ではありますが、もしオフロードウエアやギアを所有していれば、それを使うに越したことはありません。
特に足元は、オフロードブーツを着用していた方がモーターサイクルの操作がしやすく、転倒時の怪我防止にも繋がりますから、心配であればレンタル(有料)の利用も検討してみてください。
クローズドコースを走るための車両の準備

着替えを終えたら、車両の準備に移ります。
クローズドコースでの走行では、万一の転倒時にパーツが割れて飛散するのを防ぐため、あらかじめミラーなどを外し、灯火類には養生テープを貼っておく必要があります。
KLX230 SHERPAの場合は、左右のミラーを外し、さらにヘッドライト、前後ウインカー、テールランプ、ナンバー灯をテープでしっかりと保護しました。加えてナンバープレートも取り外し、転倒時に曲がったり、破損したりすることを未然に防ぎます。


ちなみに、ミラーやナンバープレートを外すための工具やテープ類は借りることができます。
やり方が分からなければ、スタッフの方に声をかければレクチャーしてくれるので、自走で参加される方や、このような経験がはじめての方でも安心です。

▲本部には様々な径のコンビネーションレンチやモンキーがずらり。必要に応じて借りることができます。取り外すパーツや養生を施す場所などが分かりやすく示された説明書も用意されていました。

▲本部には様々な径のコンビネーションレンチやモンキーがずらり。必要に応じて借りることができます。取り外すパーツや養生を施す場所などが分かりやすく示された説明書も用意されていました。
これらに加えて大切なのが、タイヤの空気圧の調整です。
オフロード走行ではタイヤの空気圧を下げて潰れやすくすることで、地面との接地面積を増やして滑りにくくするのが一般的です。今回はスタッフの方の指示に従って、1.0kgf/cm²くらいまで下げました。

▲エアゲージを貸していただき、空気圧を調整。コンプレッサーも用意されているので、自走の方は帰り際、空気圧を元に戻すのを忘れずに!
9時10分、開校式

そして9時10分、開校式。講師の方の紹介とともにはじまり、プログラムや注意事項などが参加者全員に共有されました。
午前の部の参加者は「トレールクラス」が10名、「体験クラス」が8名。それぞれ名札つきのビブスで色分けされており、青のビブスが「トレールクラス」、黄色のビブスが「体験クラス」、緑のビブスがスタッフの方です。

▲長年にわたって全日本モトクロス選手権に参戦し活躍した能塚智寛(のうつか ちひろ)選手。

▲長年にわたって全日本モトクロス選手権に参戦し活躍した能塚智寛(のうつか ちひろ)選手。

▲オフロード系YouTuberとして人気を誇るマイカルチャンプさん。

▲オフロード系YouTuberとして人気を誇るマイカルチャンプさん。
本格的なオフロードウエアに身を包んだおふたりですが、当のご本人たちはかなり和やかなムード。ちょっとした冗談を交えてお話ししてくださったので、場の緊張感が和らぎました。
乗り出す前に全員で準備体操。能塚選手とマイカルチャンプさん主導のもと、入念に身体をほぐしました。


9時40分、いざオフロードコースへ
先にも紹介しましたが、今回は「体験クラス」「トレールクラス」の2クラスがあり、それぞれ50分ずつ、場所と講師を変えて指導を受けます。
「トレールクラス」では、はじめに能塚選手のもとでコースを走りました。


まずは参加者のレベルにあわせて、短めかつ難易度の低いコースを周回します。
「はじめからコースなんて走れるのかな……」と不安でしたが、速度もかなりゆっくりでしたし、後ろの人に詰められることもなかったので、無事についていくことができました。

▲数周ずつ周回したら、一度集まって能塚選手から乗り方のポイントをレクチャー。とはいえ、「無理せず自由に走ってくださいね」としっかりフォローをしてくださったのが印象的でした。

▲数周ずつ周回したら、一度集まって能塚選手から乗り方のポイントをレクチャー。とはいえ、「無理せず自由に走ってくださいね」としっかりフォローをしてくださったのが印象的でした。

▲周回数を重ねてゆくと、少しずつですがアクセルを開けて走れるようになります。普段からオフロードを走行している方は、登り坂でしっかりアクセルを開けて、ジャンプしたりもしていました。

▲周回数を重ねてゆくと、少しずつですがアクセルを開けて走れるようになります。普段からオフロードを走行している方は、登り坂でしっかりアクセルを開けて、ジャンプしたりもしていました。
参加者が慣れ始めると、徐々にコースが長くなってゆき、最後の2周は傾斜を上ったり下ったりと、スタート時よりは少しハードなコースに。
傾斜の厳しい下り坂が少し怖かったのですが、1速・アイドリングくらいのトコトコとしたスピードで走れば、エンジンブレーキがしっかりと効いてくれるので思いのほか安心。
先導してくれる能塚選手もかなりペースを落として、参加者たちの様子を見ながら走ってくださるので、無理をすることなくコースをクリアすることができました。

▲コースを走ったことがなかったので、慣れてきたらちょこっと足を上げてみたり……と、自由に走行できてとても楽しかったです!

▲コースを走ったことがなかったので、慣れてきたらちょこっと足を上げてみたり……と、自由に走行できてとても楽しかったです!

▲コースを走ったことがなかったので、慣れてきたらちょこっと足を上げてみたり……と、自由に走行できてとても楽しかったです!

▲思い切って能塚選手に質問。シートの座る位置やどうやって足をあげたらカッコいいのかなど、率直な質問に丁寧に対応してくださいました。

▲コースをたっぷり走ったあとは、いったん休憩。20分間しっかり休む時間が設けられ、一旦ヘルメットを脱いで水分補給をしたり、汗を拭いたりと、各々自由に過ごしていました。
10時50分、休憩を挟んで広場で基礎をブラッシュアップ

リフレッシュした後は場所を変えて、マイカルチャンプさんの指導を受けました。こちらでは、四隅に置かれたパイロンの周りを周回しつつ、オフロード車の基本的な操作方法をじっくり学びます。
この場所は、凸凹や傾斜のない広場となっているので、走行ラインは先のコースとは異なりとってもシンプル。
だからこそ、コースでは曖昧になってしまっていたライディングフォームや、スロットル、ブレーキの操作をひとつひとつ丁寧に考えて行うことができ、集中して自分の課題に向き合えました。

▲特に印象的だったのは、フロントブレーキだけを使って減速する練習です。ブレーキの操作中に、ハンドルを切ったり車体を傾けたりすると、フロントタイヤが滑ってしまうのがオフロードの特徴。この練習は、転倒を防ぎ、メリハリをつけてアクセルを開けるために欠かせない基礎トレーニングなのだそうです。

▲特に印象的だったのは、フロントブレーキだけを使って減速する練習です。ブレーキの操作中に、ハンドルを切ったり車体を傾けたりすると、フロントタイヤが滑ってしまうのがオフロードの特徴。この練習は、転倒を防ぎ、メリハリをつけてアクセルを開けるために欠かせない基礎トレーニングなのだそうです。

▲指導中もひとりひとりの動きを側で見て「いいね、いいね」と声をかけてくれるマイカルチャンプさん。初めての走行で苦戦している時でも前向きに練習できます。
11時40分、走行終了! イベントはまだまだ続きます
お二人の指導を受け、ひとまずスクールは終了。実際に走った時間はほんの2時間ほどですが、身体はぽかぽか。もっと乗りたい!と思う反面、すでに上半身や太ももなどが筋肉痛に襲われていました。
この後11時50分からは、事前受付をされた方を対象に、大試乗会を開催。KLX230や、KLX230 SHERPA、さらにコンペティションモデルのKLX140R Lなどに乗ることができ、参加者は嬉々として時間いっぱい走行を楽しんでいました。

▲試乗車はKLX230R S、KLX230 SHERPA、KLX230 SHERPA S、KLX140R Lの4台でした。

▲試乗車はKLX230R S、KLX230 SHERPA、KLX230 SHERPA S、KLX140R Lの4台でした。

▲大試乗会の後は、能塚選手とマイカルチャンプさんに質問ができるトークセッション。「どうやったら上手に曲がれますか?」「普段はどんなバイクに乗るんですか?」など、オフロードに関する疑問はもちろん、プライベートに迫るお話まで。短い時間でしたが、おふたりの回答に親近感が湧きました。

▲大試乗会の後は、能塚選手とマイカルチャンプさんに質問ができるトークセッション。「どうやったら上手に曲がれますか?」「普段はどんなバイクに乗るんですか?」など、オフロードに関する疑問はもちろん、プライベートに迫るお話まで。短い時間でしたが、おふたりの回答に親近感が湧きました。

▲豪華景品が貰えるじゃんけん大会なども開催され(ここで能塚選手がじゃんけんに強いことが判明しました)、午前の部は怪我なく、参加者みな笑顔で幕を閉じました。

▲豪華景品が貰えるじゃんけん大会なども開催され(ここで能塚選手がじゃんけんに強いことが判明しました)、午前の部は怪我なく、参加者みな笑顔で幕を閉じました。

▲豪華景品が貰えるじゃんけん大会なども開催され(ここで能塚選手がじゃんけんに強いことが判明しました)、午前の部は怪我なく、参加者みな笑顔で幕を閉じました。
まとめ:「KAZE Let’s Ride オフロード」に参加して


今回私が参加させていただいた「KAZE Let’s Ride オフロード」トレールクラスは、「オフロードを走る」ということのハードルを大きく下げてくれるイベントでした。
はじめにコースを走った時は、能塚選手の先導のもと、自由なスタイルで走らせてもらえたことで、フォームの上手い・下手にとらわれず、純粋にオフロード走行のドキドキ感やワクワク感を味わうことができました。
コースが変わって距離が伸びるたびに、能塚選手が注意するポイントを教えてくださったので、「ここでアクセルを開けすぎたら危ないんだな」と予測しながら、転ばずに走ることができたのです。


そして、何度もコースを走ると、「ここをもう少し上手く曲がりたい……」と、自分の中でちょっとした課題が生まれます。
その課題を、マイカルチャンプさんの指導のもと繰り返し練習できたことで、はじめにコースを走った時よりも確かな安心感をもって、オフロード走行を楽しめました。
座る位置、ブレーキのかけ方、スロットルの開け方……など、基本的なことを改めて教えてくださったので、「次は絶対に今よりもっと上手に乗れる!」とイベント終了後に自信を持つことができました。


繰り返しになりますが、プロのサポートを受けられるクローズドコースでの走行は、万が一の時でも安心感が違います。
実際にモーターサイクルを購入しても、「ひとりで林道へ行くのは不安」という方は多いはず。本イベントは、そんな方が愛車を存分に走らせ、オフロードの面白さを味わえる、絶好の機会だと言えるでしょう。

▲最後はみんなで記念撮影! 充実感が抜群、「またオフロードを走りたい!」と思いました。
本イベントは2026年度も開催予定です。
カワサキのモーターサイクルに乗っている方はもちろん、そうでない方でも、「オフロードモデルに乗ってみたい!」と、はじめの一歩を踏み出したい方には間違いなくおすすめのイベントですので、ぜひチェックしてみてください。
文:大冨 涼/写真:西野鉄兵、Kawasaki



