ママチャリのように実用性を重視した車体設計

Kawasaki
noslisu
2025年モデル
シート高:745mm-905mm
車両重量:31.4kg
税込価格:39万8200円

Kawasaki
noslisu
2025年モデル
シート高:745mm-905mm
車両重量:31.4kg
税込価格:39万8200円
noslisuは「前2輪・後1輪」という珍しい車輪レイアウトを採用した電動アシスト自転車。リーン機構により車体を左右に傾けられるため、一般的な自転車に近い操縦感覚を保ったまま安定走行できるモビリティです。

▲車体の傾きに同調して前輪も左右に傾く2輪ステア機構を搭載しています。
また、上半身を前傾させることなく乗車できるセミアップハンドル、またぎやすい車体フレーム、20kgまで積載可能な前かご等、日常使いでの実用性も考慮されています。普通自転車規格で歩道走行可能なことも踏まえると、ママチャリとしても運用できそうです。
ちなみに、リアキャリアがないので、サドルの後ろから足を回してまたがることもできます。

▲低めの車体フレームを採用しているため、前後どちらからでもまたぎやすいです。
なお、noslisuのような前2輪のモビリティは、前1輪のモビリティと比べて、構造的にハンドルの切れ角が取れない=最小回転半径が大きいという特徴があります。
そんなときは、サドルを持ち上げて車体後部を浮かせ、前2輪を中心軸にその場でクルっと車体の向きを変えると良いかもしれません。ただし、車体重量が31.4kgあるので、腕力に自信がない方は素直に迂回して戻ってくるといった対応が求められるでしょう。
自転車とモーターサイクルの中間に位置する電動モビリティ
車両電源は一般的な電動アシスト自転車と同様に、ハンドル手元のボタンを押すことで起動。パネルの表示を切り替えると、現在のアシストレベル、航続距離、バッテリー残量などを確認することができます。

▲パネルからアシストレベル、航続距離、バッテリー残量などを確認・切り替えできます。
アシストレベルはロング/オート/パワーの3段階あり、外装7段の変速ギアとうまく組み合わせて最適な負荷を選択可能です。
一番アシスト力が小さいロングモードでは、そっと後ろから押されているような感覚ですが、最も強力なパワーモードでは、漕ぎ出し直後からグッと押し出されるようなアシストパワーがかかり、力強い発進・加速ができます。

▲全幅60cm未満なので、自転車同士のすれ違いも余裕で行えます。
都内走行では信号待ちが多く、停止状態から発進する機会も多いため、基本的にはパワーモードで運用すると良いのではないでしょうか。
アシストレベルの切り替えは走行中でも行えるため、道路環境に応じてこまめに変更して運用すると、アシスト力と電池持ちのバランスを取った運用ができると思います。
また、小回り性能を計測してみたところ、最小回転半径は約2.6mとモーターサイクルなみの大きさでした。住宅街の生活道路をはじめとしたセンターラインのない道路(道路幅員5.5m未満)で転回する場合、曲がりきれない可能性があるので、注意が必要です。

▲ハンドルを切ったようす。車庫から車道に出る際や転回するときは、十分に注意しましょう。
ちなみに、交差点での右左折では、一般的な自転車でもハンドルを最大まで切って走行することはないので、自転車と同じ感覚でスイスイ曲がれます。
実生活で切り返しが求められるシチュエーションの大部分は駐輪時だと思いますが、小回り性能がモーターサイクル同等であるという点をあらかじめ認識していれば、とくに問題はないでしょう。

▲自転車のように車体を傾けるとスムーズに右左折できます。
車体角度ロック機構は駐輪専用の機能
車体の走行安定性について、車体角度のロック(リーンロック)をかけたまま走行したら、倒れない3輪自転車として低速走行しやすくなるのかどうかも検証してみました。
安全確保の上、私有地で検証しています。危険なので絶対に真似しないでください。
角度ロック機構はディスクブレーキ式となっており、手元レバーでロックすると“ほどよく”固定され、一定以上の力がかかるとそれに従ってズズズっと動きます。

▲ハンドルバー手前にあるロックレバーを引いて、ロックボタンをかけると車両の傾き(左右方向)を固定できます。

▲前輪と前輪の中間にあるリーンロック。
つまり、ロックした状態で走行する場合、一度バランスを崩すとその角度で固定されてしまうため、車体をほぼ復原できなくなります。
「車体角度は完全固定できず、角度が戻らなくなってむしろバランスを取りづらくなる」ということを踏まえると、角度ロック機構はあくまでも駐輪時に自立させるための機能として組み込まれているようです。
【まとめ】都内走行時は取り回しを意識して運用しよう
noslisuは、低めの車体フレームとセミアップハンドル、また最大20kg積載可能な前かごなど、ママチャリのように使える実用性を備えています。

荷物の盗難が心配な方でも安心な前かごを標準装備。最大20kgまで積載できます。載せているバッグはアクセサリーパーツとして用意されているものです。
ただし、前輪が二つでハンドル切れ角が小さいことから、最小回転半径は約2.6mとなっています。
交差点での右左折であれば、ハンドルを全切りすることはないので、走行中の操作感覚は自転車とほぼ同じです。
一方、センターラインのない道路や歩道で転回する場合、幅が足りず曲がりきれないことがあるため、迂回して戻ってくる、あるいは車体を持ち上げてクルっと回転させるなど特殊な運用が求められます。
もっとも、狭いところでの小回り性能がモーターサイクルなみであるというだけの話なので、扱い方がわかればとくに問題はないでしょう。

▲リーン機構のおかげで、路面に左右の傾斜がある状況でも安定走行可能です。
2つの前輪とステア機構の組み合わせで斜面や段差があっても安定走行できる点、前かごに20kgの荷物を載せられることなどを踏まえると、ふだんの買い物や通勤・通学など荷物を安心して運びたいニーズに応える自転車と言えるかもしれません。
運転免許をまだ持っていない若年ユーザーや免許を返納したアクティブシニア層などにオススメのモデルです。
文:黒石研仁/写真:Kawasaki Good Times 編集部





